だいすきだった。

君は私の世界のすべてだった。

でもあの世界にはまだ、君が必要だ。
私が独り占めなんて許されない。


「でもゴンさんがいつここにまた来ても私が居場所でいるから」
「駄目だ!」
「あ、でもわざと来るなんて許さないよ?」
「駄目だ駄目だ!絶対…っ」
「…ゴンさん、私の愛した世界を守ってね」

私は、ゴンさんを抱きしめた。
ゴンさんは泣いていた。
一方的なのは分かっている。だけど、ゴンさんは優しいから、私を置いていくなんて無理だから、私がこうしなきゃ…。

「ばいばい、ゴンさん…ゴン」


最後に笑顔を作る。
そして、トン…とゴンさんを押すと、真っ黒の穴にゴンさんは落ちていった。
真っ黒な穴は私は入れない。そして、以前この穴にゴンさんが落ち掛けた所を見た。
これはきっと、現世に戻るための穴。

ただ…髪が余りに長くて、落ちきるのに時間がかかる。
だから、私が感傷に浸るための時間として使わせてもらうよ。

ねぇ、ゴンさん。
いつかまた会おうね。


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