夢を見た。
ゴンさんの髪の橋を渡って、彼…ゴンに会いに行く夢だった。
いつも通りの笑顔を向けたゴンに、私の心は絆された。



「…最低だよね」

これは私がゴンさんを受け入れていない証だろうか。
ゴンさんは変わらず私を愛してくれているのに、私がいつまでもこうなのはとても卑怯だ。

だから、私は…私も変わらずゴンさんが好きだという証明に、ゴンさんにキスをしてみせるの…っ!


手に力を入れ、生唾を飲み込む。
そして、じわり…とゴンさんに近づいた。



「ゴンさんっ!」
「わぁ!なまえ」

どうしたの?と笑うゴンさんに胸がときめく。
そうよ、だって私は 彼を愛しているんだもの。

「ゴンさん!」
「ん?」
「目を閉じて」


私がそう言うと、ゴンさんは察したかのように目を閉じた。
…とりあえず私はゴンさんによじ登り、肩にまたがった。
そして口元に近づけた。なのに。




涙が止まらなくなって、私はゴンさんにキスができなかった。


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