ゴンは私にとって弟のような存在だった。
歳も下だったし、私をなまえと追いかけてきた彼はとても愛らしかった。
しかし、どんどん逞しくなる彼に、私は恋心を抱いてしまった。
私の後ろにいた彼は、今となっては私を引っ張ってくれる存在になった。
愛している。
たとえ…。
「…なまえ」
「…ゴン」
あなたが変わり果ててしまっても。
…私より小さかった身長は倍以上あり、ツンツンと可愛らしかった髪は今は果てが見えない程に長い。
「ゴンさん…だろ?」
そうニコリと笑う彼は、もうあの頃の彼では無かった。
「ゴン…さん」
震える声で口にすると、「いい子だ」と優しい声をかけられる。
でもなんでだろう。
胸が締め付けられて苦しいの。
「ゴンさん…」
「なぁに?」
そう笑顔で私を撫でる彼は、本当にゴンなのだろうか。
「愛しているよ」
「うん、オレも愛している」
それでも投げかけてくれる大切な言葉は、彼と同じだ。
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