「…会うか?」


その言葉を見たのは、私が「もうすぐ一年たつんだね」と言ってからだ。

「どうしようかな。また来年偶然の一致をするかもしれないし」

「ならやめるか?言っておくが、お前は2年とかだろうが、俺は3年だからもう話す機会はないぞ」

そっか、3年なんだ。
本当、私はKを何一つ知らない。
それに3年生は、2月に自由登校に入るのだからあと、少ししかないんだ…。
まだ、Kと沢山話したいのに。
…だから。

「いいよ、会おう」

「じゃあ1月25日に、放課後此処に来い」


いやいや、理科室開いてるのか?
まあでも…あのKだ。
なんとかするのだろう。







身だしなみに普段以上に気を使って私は理科室に入った。

…うん、本当に開いてるよ…。


「…ふぅ」

一年弱共に過ごした席に座る。
すると「来たか」という文字があった。
下に「今日はKに会いに来たんだよ。会って冷やかしてやる」とか書いておいた。
すると声が聞こえた。


「誰を冷やかすって?」
「…もしかして、K?」
「あぁ」

書くために、伏せていた顔をあげると、そこには。

「うっわ、イケメンだ」
「何で嫌な顔をするんだ…?」
「いや、イケメン爆発しろと思って」
「直接会っても、相変わらずだなお前は」
「Kも相変わらずだよ。というか年上なんだよねK。私敬語使おうか?」
「いい。気持ち悪い」
「アッハー、失礼ー」

「…ソラ」
「うん?なぁに」
「はじめまして、俺はクロロという」

Kの、本名だった。
それは机の上だけの関わりの、終わり。

「んっと、私はなまえ。みょうじなまえよ」
「そうか、よろしくなまえ」
「なんかはじめましてって感じしないなぁ」
「そりゃあそうだろう」
「というか、クロロ…ね。あぁ、だからK」
「いや、本当の頭文字はQなのだが」
「…Qね。なんでKにしたの?」

Qの方が面白いのに。Qちゃんとか呼んでやったね!…Qちゃん…ププ。

「お前の心境を当ててやる。Qとか…Qちゃんって呼んでやったのに。ケラケラ」
「げっ」

大方当たってやがる。

「お前の考えそうな事だ」
「むぐ…把握されてる」
「当然だろ」

きっと私達は、誰より遠くて、誰より近かった。

「ねぇ、クロロ」
「何だ」
「まずは、友達になろっか」
私の放ったその言葉に、とっくに友人のつもりだったよと私と同じ考えを、笑ったクロロの口から聞いた。


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