「今日も午後は観戦ーっと」
あれから四年がたった。
未だに闘技場の事務員を辞めていないのは、キルア君がもしかしたら、また姿を見せるかも知れないもの。
あの時、キルア君は私が目が覚めた時には200階に到達してそこでやめちゃっかだかで、結局一目見ることさえ出来なかった。
今キルア君は12かー…。格好良くなってそうだ。
そんな私はもう20だよ畜生。
悶々と考えていると、誰かにぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさ…」
「大丈夫か、ゴン………なまえ?」
「キルア、君…?」
相変わらず綺麗な髪、声、目…随分成長しているけれど、分かる。
「あれ、キルアの知り合い?」
「ああ…ちょっとな」
「そっか!俺はゴン、よろしく!」
ああ、そうか。
私の光がキルア君であったように。
君も光に出会えたんだね。
「私はなまえ。…よろしくね」
…キルア君を、よろしくね。
「じゃあ私は…」
「…なまえ」
「どうしたの、キルア君」
「ちゃんと守ってやれなくて、ごめん」
「何言ってるの、キルア君」
私は、変わらず異常だけれど。
「キルア君に殺されるまで、私は生きるんだよ。歪な形だけど、そのために生きようと思った。だから、今まで守ってくれてありがとう」
そのためになら、死ぬまで生きる。
衝動も、それを考えればいらなくなって。
だから。
「…なまえ」
「私はもう平気だから、今度はキルア君の番だよ」
今度はキルア君が、光に助けられる番なんだから。
そして、その光はきっと隣の少年でしょう。
「またね、キルア君。もしいつか会えたなら、私を殺してね」
「…またな、なまえ。…いつか、会えたならな…。ま、気が向いたらだけど」
もう二度と会うことはないのだろうけど、きっと誰より、私は。
((愛してた))
だから、さようなら。
私を守ってくれた人。
…愛してた…違う、私はまだまだ君を愛しているけれど、それでも。
…私も君のように、新たな場所を、見つけて見せるよ。
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