なまえを気絶させた。
オレの腕の中でぐったりとしているなまえを見て、少し泣きそうになるのを堪える。

そして、オレは。

「…居るんだろ?兄貴」


オレがそう言うと、ゾルディック家の長男であるイルミゾルディック…つまり俺の兄貴が居た。

「気づいてた?」
「なんとなく…。カマかけただけだよ」

気づいた一番の理由としては、兄貴の性格からして、オレが近くに人間を置く事を見過ごす筈が無いと感じたから。
そして、なまえがオレの首に手をかけたとき、一瞬感じた嫌な感じ。
案の定、これだ。

「イル兄…こいつ殺そうとしたろ」

なまえを、オレを好きだと言ってくれたリアを。

「うん。だってそいつ邪魔だろ?…まぁ、でももうその必要はないか。あれ、適当に言った嘘でしよ?全部。ねぇ、キル」
「…あぁ。オレは別にこいつが必要じゃないし、会おうとも思わない」
「うん、キルにはそういうのいらないもんね」
「…うん」


ごめん、ごめんなまえ。
オレにはお前をこんな形でしか守れない。
お前は異常だったし、オレなんかを好きになるなんていうのも異常だ。
それでも、お前と居るのは楽しくて、ゾルディックの後継者とかそういうオレじゃなく、キルアとして…ただ1人の人間として好きになってくれたなまえが、オレも好きだったよ。


だけど、オレはお前をまだ守れないから。

ごめん、なまえ。
…さよなら。


prev - next


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -