自殺願望があるわけじゃない。
キルア君だから、キルア君にだけ、殺されたいわけで。
「キルアくーん」
「なんだよ、はーなーせー」
「そろそろゲームを私に返しなさーい」
「今いいとこなんだよ!」
ピコピコと夢中になってゲームするキルア君は非常に可愛い。
…なんて心地いいんだろう。
なんというか、キルア君と居ると落ち着く。
…例えば、キルア君のあの小さな手が、私の命を奪ったとしよう。
…その瞬間、私の体は、魂は…きっと綺麗になる。浄化される。
汚いもの、醜いものが全部…無くなった私になれる…んだと思う。
だけど、それは私の異常を、醜さを、汚れを…キルア君が背負う事になるんだ。
私の異常を…私の人一倍の醜さを…キルア君が背負う…?
…そんなの駄目だ。絶対、駄目だ。
キルア君にそんな事できない。
…それならいっそ。
キルア君を殺して、私がキルア君の罪を、闇を…背負ってみようか。
恐る恐る、私はキルア君の首をぎゅう、と掴んだ。
ガタガタと指は震えるし、目からはぼだぼたと涙が零れた。
「う、うぅ…」
嗚咽がもれてるのは、私。
「大丈夫だよ」
私を安心させる言葉を言うのは、キルア君。
「う、うぅ…っ」
ゆるゆると手の力を弱めると、キルア君はゆっくり振り向いて、笑った。
「俺はそんな簡単に死なないよ。だから、俺で良かったら、何回でも殺そうとしていいから」
だからいつかそれに飽きて、衝動を消してくれよな。
そう笑うキルア君に、ただただ涙をこぼした。
違う、違うんだよキルア君。
本当は、君に殺されたくて、殺したくて、そしてそれと同じくらい、君と居たいんだよ。
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