「お前のそれ、いつからだよ」
泣きそうな顔をしたキルア君を放っておけず、昨日と同様、うちに来る事になった。
「それって?」
「その、へんな思考」
「あぁ…」
この衝動は、この感覚は、この思考は。
「13歳くらいかなぁ。呪文はここ1年だけど」
「…今、何歳?」
「16歳だよ」
「見えねー」
「え、いくつに見える?」
「12くらい」
「さすがにないわー」
12といったら4つも違う。さすがに、ない。
「せめて14とか」
「見えない」
バサリと切られてなかなかへこむ。
「…キルア君は」
「ん?」
「ヒトゴロシをしたのは、いつ?」
「…んー」
覚えてない。
物心ついた時には、もう。
…染まっていた。
そんな答えに、私はぎゅっと手に力を入れた。
「…」
綺麗なんて軽々しい。
殺されたいなんて生易しい。
私なんて死んでしまえなんて、愚かしい。
私は馬鹿でアホで、どうしようもない人間だ。
でも、そう思ってしまう。それは変えようがない。
キルア君の言葉の一つ一つが、膨大な闇の色を孕んでいるようで。
「だから、お前は、なまえは、どんな思考があろうが、どんな衝動があろうが…オレに比べれば光り輝いていて、わざわざ闇の世界に入る必要なんてないんだから」
俺が、正してみせるから…。
そう言うキルア君のように、私がキルア君に光を与える事はできないだろうか。
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