家まで少年をおぶって行くと、途中で少年が身を捩った。

「あ、大丈…」
「お前誰?」
「いた…っ!?」


チクリと首筋に痛みを感じて、混乱する。
な…に…?


「動くと殺す」
「え…?」

死にかけてたのはあなたじゃない。

「…オレをどこに連れていく気?」
「えっと…私の家…?」
「…オネーサン…変態?」
「ち、違うわよ!あなたが倒れていたから…」
「オレ寝てただけだよ」
「う…そ…」
「これは返り血。オレのじゃない」


余計なお世話。
いい迷惑。
勘違いも甚だしい。
馬鹿みたい。
いい子ぶって馬鹿じゃないの。
何考えてんの。
なんて恥ずかしい子。


一瞬にして色々な言葉が脳内を巡る。


「…おい?」
「…に」
「え?」


「私なんて死んでしまえ私なんて死んでしまえ私なんて死ねばいいのに私なんて死ねばいいのに…」
「おい!?」


ぐわっと襲った感覚に、いつも通りの呪文を繰り返す。

「…私なんて…」
「お、まえ…っ」
「…死ねばいい」
「…やめろよ」
「生きてる価値なんて…」
「やめ…」
「無いんだからー…」
「止めろ!」


「あ…」


声に驚いて振り向くと、少年の顔が歪んでいた。

「お前…馬鹿じゃないのか…っ」
「…ごめんね」

見苦しかったろうに。
気味悪かったろうに。

「お前…異常だ」
「知ってる」



そんな事、私が一番。


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