「そういえば、…カイト…君は今なにしてるの?」
「ああ、俺ハンターなんだよ。で、さっき言った恩人のジンさんを探してんだ。まぁ試験っつーか…」
「ええ!」


カイト君がハンター。で、ジンって、たしか…!


「…カイト君って」

ゴンがハンターになるきっかけを与えたあの、カイト…?

それなら私は。
直接関わったわけじゃないけど、でも、主人公がハンターになるきっかけに貢献できたのなら。


「…そっかぁ」


それはとっても素敵で、心が救われたように感じた。


「頑張ってね、カイト君。応援してる」
「…ああ」

口角をあげて返事をくれた彼を見て、私の心が綻んだ。







あのあとカイト君とわかれた。
そして私は…。

「ありがとう、僕」
「…なまえ」
「私、僕と居られて、すごく楽しかったし、連れ出してくれて嬉しかった。…ありがとう、僕」
「…」
「私、僕のおかげで幸せになれる。本当に、ありがとう」
「…なまえ」
「なぁに?」
「僕は、…僕がなまえを幸せにしたい」
「…えっ!?」
「だから、なまえを幸せにするためにしばらくサヨナラする」
「え、ぼっ、僕…!」


何を言ったらいいか分からなくて、混乱した頭で僕を呼んだ。
すると僕は、私を引き寄せて頬にキスをした。


「…えっ」


もう頭の中がごちゃごちゃだ。
だって、僕は、僕が、私を、私にー…!


「僕に幸せにさせる気があるなら、彼氏とか作らないで僕を待っててよね」


そう言って僕は、私の前から消えた。
正確には、近くの窓から飛び降りたのだけど。
私は唖然としたまま立っていた。

だんだん理解をしていく頭と一緒に、顔に熱が集中する。
ああもう、僕の馬鹿!



「待つしか、ないじゃない…!」




私をこの未来に連れ出した僕を、好きにならないわけがないのだから。


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