「見てみて僕!フルーツのお砂糖漬けだって!」
「…なまえ…太るよ?」
「…手厳しいぜ…僕…」
お腹の肉をむにっとつまんで、ぶつぶつと何か言っているなまえ。
僕らは糖分をとっても、一般人より多く動くからすぐ消費してしまう。
けれど、なまえは別段強いわけではないから、「太る」というワードは気にするのかもしれない。
所謂女の子の禁句というやつか。
…言ったの、まずかっただろうか。
「…なまえ」
「僕!」
「え、なに?」
なまえの名前を呼んだのは僕なのに、逆になまえに呼ばれた。
「私太い!?」
「…別に、普通じゃないかな」
もう一度お腹を摘んだり、ほっぺをぐにぐにとしているなまえは見ていて面白い。
だから。
「はい、なまえ」
「ぼ、僕…、それは…!」
なまえがブツブツと言っている間に、屋台で購入したフルーツの砂糖漬けをひとつ手渡した。
「うぐぐ…っ、僕…私を甘やかしちゃだめよ…!」
「屋台で買った10個入りのフルーツの砂糖漬け。1日一個まで。それでその分動く」
僕の提案を聞いて、それなら…きっと…とか呟いて、フルーツの砂糖漬けをひとつ受け取った。
「ありがとう、僕」
その笑顔が愛おしいと、そう感じてしまう僕はおかしいだろうか。
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