一週間の滞在なんてあっという間で。
私は両親に連れられて、家を出た。

そして船に乗るべく道を歩いていると。


「離せ、離せよ!」

そんな事を叫ぶ少年の声が聞こえた。
声の方を向くと、あの少年が腕を掴まれて宙ぶらりんになっていた。

暴れても抜け出せずにいる少年を見て思った。
…捕まってしまったのだと。


動けずにいる私の腕を、母が引いた。
「行きましょう」
そう言う母に言われるがままに足を動かして行く私を、一瞬…少年が見たんだ。


目があった少年のその虚ろな目が、「ああ、お前もか」と全てを諦めたような、信じる事をやめたようなその目が、いまだに忘れられないんだ。


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