私は念が使いたかった。
ずっとずっと使いたかった。
神社に初詣に行くと必ずお願いした。
実際に私は出来るようになったけれど…。
それに、幸福指数はどれくらい必要だったのだろうか?
「…うそだ」
世界は私が嫌いで、私に意地悪をしていたんだ。
念はこの世界がくれたもので。
本当は、世界は私に精一杯優しくしてくれていたなんてそんなの。
「嘘じゃない」
「違う」
「違わない」
「だって…」
なら、私は。
「どうすればいいの…?」
分からない。
私はどうしたらいい?
世界を嫌う以外を知らない私は。
「簡単だよ。今度は愛せばいい」
「……」
愛す?
「…でも」
「君はもう、君の世界が好きだろう?」
今までで念を使う為に幸福指数を使ったなら、やっと普通の…しかも念が使えるなんていうスペシャルな特典付きの未来がやってくるんだから。
「でもさ、私この世界も好きだから…戻れないよ」
私にとって、この世界のすべてはヒソカさんだ。
ヒソカさんはこんなにも優しい。
だから私はこの世界に絶望なんてできない。
「そうかい。…じゃあ」
「…ぁ、ぐぁ…!?」
赤い血が舞う。
鋭い痛みが襲う。
これは、なに?
「ボクが絶望させてあげるよ」
ヒソカさんの手が、私のお腹に刺さっていた。
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