※ヒソカ過去捏造注意



ボクの家は決して裕福な家庭ではなく、むしろ貧乏だったんだ。
父親がろくでなしでさ。
でも母はとてもいい人でね。
月に1度、お菓子を買ってくれたんだ。
とても安いお菓子だったけれど、ボクはそれが大好きだったんだ。

けれどね、ある日母が死んだんだ。
ボクは母が大好きだったから、それでもろくでなしの父が居る家を離れなかったよ。


そして、それからしばらく経った頃…1人のマジシャンが近くにやってきた。
それはすごく面白くて、どうやっているのか聞いたボクに彼はこう言ったんだ。

「種も仕掛けもないよ」

ならなんだ、魔法なのか。
魔法ならー…。

「……」

母に聞いた話で、悪い魔法使いを殺して、魔法を手に入れる話があった。
けれど、その殺したマジシャンの手から落ちたものは、種も仕掛けもある道具だった。

落胆。そしてそれと共にボクに押し寄せたのは、殺人に対する高揚と快楽だった。


だから、マジシャンの手から落ちたトランプを拾って…。


父を、殺した。

驚く程にあっけない。その時初めて、僕は殺しに天才的センスがあると知った。

殺しは好きだ。
命が消えるのを感じる事が。
苦痛に歪む表情が。
すごく、たまらない。
強い相手が大好きだ。
将来強くなる相手を、強くなってから殺す瞬間なんて最高だ。




それは、母を失い、父を殺し、思い出の家を捨てる事で、それをやっと自由に楽しめる幸せを手に入れた。







「幸福指数」
「……」
「幸福指数というのを、知っているかい?」
「…知らない」
「人は、幸せの値を予め決められているという考えなんだけどね」


まず、生まれた時に全員に一定の幸せの権利が与えられる。
たとえば、努力した者は、全く努力をしない者より優れ、それが「幸せ」に繋がるだろう?
けれど、結果としては幸せになれなかったとしても、努力しなかった者はその怠惰していた時間は自由に遊べて幸せだっただろう。
努力した者は、結果は幸せだが、努力した時間は相当辛かっただろうし、自由がきかず不幸だったかもしれない。


そうして、均等を守り、どんな形であれ、平等になっている。


それが、幸せ指数。





「それならば、君が不幸だった理由はー…」


そうして、君の瞳が揺らいだ。


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