私は将来有望なんかじゃない。
世界に愛された彼に似ているなんてありえない。
彼は勘違いをしている。
でも縋れる者が彼しか居ない今、私は。


「ねぇ、君の話聞かせてくれる?」
「…拒否権は」
「嫌ならいいけれど、…君は拒否しないだろ?」

確信を持ったその言葉は、決して間違ってはいなかった。
確かに私はそれを拒否しない。
だってあなたに教えたい。私とあなたは違うのよと。







何をしても駄目な子って居るでしょう?
いくら教えてもできない子っているでしょう?

それが、私だった。


テストでヤマをはればたまたま全部外れる。
選択問題もたまたま1つも当たりゃしない。
たまたま私の前で品切れ。
たまたまボールが当たる。
たまたま新しい学校で周りが男子だらけで友達が出来なくて。
そんでいじめられて。


全部、たまたまたまたま。



…ふざけてる。



運が悪い。
それに加えて、いくら努力をしてもなにも報われない。


「本当に何しても駄目だよね」
「そう、かな…」
「勉強も駄目、運動も駄目。もっと頑張ったら?」
「あはは…」


頑張ってる。
頑張ってるけどどうにもならないんだ。
誰にだって頑張っても無理な事がある。それが私は人より多くて、特技が無いだけ。


…ここまでどうにもならない人を私以外に見た事がない。
勉強が出来なくても、絵が上手いとか運動が出来るとか、他に何かしら特技がある人がほとんど。


じゃあ私がここまで何もできない理由は?

…それを私は、世界が私を嫌いだからと仮定する事にした。



そして他の人が出来ない、唯一できた事が念だった。



「そうしたら、この世界は私を愛してくれるんだって思った」



だからこそ私のいた世界を捨てた。
そしてこの世界を愛そうと思った。


「私、この世界の方が好きだよ」
「…そうかい」
「どう?やっぱり違うでしょう?捨ててやっと、人並みになるぐらいなの。私は」
「いいや、やっぱり君はボクによく似ている」
「そんなわけない!現にあなたは世界に愛されているじゃない…!」
「世界がどうとかは分からないよ。ただね、…あぁ、ねぇなまえ」
「………」




「ボクの話も、聞いてごらんよ」


prev - next


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -