「君、念を一応覚えているんだね」
「は、はひ…!」
「そう怯えないでよ」
クックッと笑い声を漏らすソイツに言わせてもらおう。
無理に決まってるだろう!
…ヒソカは私が苦手とするキャラクターだ。
ねっとりと纏わりつくような話し方も、ピエロを思わすような見た目も何もかもが恐怖の対象である。
確かに、年をとる事に個性的な敵キャラは面白さに変化してはいったけれども、それは自分は関わる必要が無いからであり、その状況であれば嫌いではないしある意味好きといえなくもないかもしれないが、目の前に居る今となっては、まだ1桁の年齢というぐらいの子供の時に感じた「怖い」「気持ち悪い」とか、そういったまっすぐな本能的な嫌悪が勝るに決まっていた。
逃げたい。念能力で今すぐ別の世界に逃げたい!
でも逃げられない。
…というか、今は原作でいうと…どこ、だ。
「…あ、の」
「ん?」
「あなたは、ハンター…です、か?」
「ううん、今年受けたけど色々あってね。どうしてだい?」
「…強そう、だから」
ぽつりと呟くように喋っているけれど、ヒソカはちゃんと聞いてくれた。
原作一年前。そして、…何このヒソカ。
え、だってヒソカだよ?カタカナ表現バリバリのあのヒソカだよ?
殺すか青い果実か殺す価値もないか戦いたいかの人類を4つの区分に分けてハァハァ楽しんでるような奴じゃないのかヒソカ!
「あ、の…」
「どうしたの?」
「屋根ぶち抜いて、私が勝手に部屋に居るのに…どうしてなんか優しいんですか…」
「んー、だって…君、一般人だよね?なのに念能力を覚えていて…最初の話も興味深い」
つまり。
「楽しませてくれそうだ」
青い果実に入れられたようなもの。
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