Nさんが女の私より可愛くて美しいとかふざけんなとか思ってないよ、堕ちろ。
Nさんがモッテモテでマジうぜぇとか思ってないよ、輪廻めぐれ。
今、あからさまに私は不機嫌だ。
今日はNさんとデート的な事をしているのに、私よりまつげ長いとか、肌綺麗とか、私居るのにオンナノコに話しかけられてんじゃねーよボケとか思ってませんよ、ええ。
前半なんかもはや、直しようがないとか分かってますから。
「Nさん堕ちろ輪廻めぐれボケ」
「なまえ!?」
「あ、やば。いわざるべき所を言っちゃった」
すると、Nさんはふぅ、と息をはいて、少しかがんで私に目線を合わせる。
「なにかあった?」
子供扱いしているようで、少し癪に障るが、まぁ、よしとする。
「自分の胸に手ェ当てて聞くといいです」
「……えっと、こう?」
「私の胸に手ェ当ててどうする、この変態」
バキィ!と軽快ながらも重々しい音が響く。
今のは私、悪くない。
「…なまえ、痛い」
「…私よりまつげ長くて、肌綺麗で、ナンパもされるような可愛い女の子と付き合えばいいんですよ、もう!」
Nさんは格好いいし優しい。だからこそ不安なのだ。
私は釣り合わない私釣り合わない、この人の隣に居れるような人間じゃない…!
「私、私は…っ!」
「…落ち着いて、なまえ」
僕はなまえが好きなんだよ?
と、少し困ったような笑った顔で私を見た。
「でも、私釣り合わないですもん…!さっき話しかけてきた子の方がずっと…っ!」
「なまえ」
ちゅ、と軽いリップ音がした。
一瞬呆けてしまったけれど、すぐに何をされたか気がついて顔に熱がたまる。あつい…。
「…だって、私は普通すぎるんですもん。Nさんは格好いいし、綺麗だし、優しいし…。私みたいな、可愛くなくて、バカで、子供っぽい子なんて似合わないもん…」
「僕にはなまえは可愛く見えるし、すっごくいい子だと思う。…この事は、僕以外の誰にも知られたくない。…#name_1##が好きだから、だからなまえを選んだ…一緒に居たい…」
それじゃあ、なまえと居る理由にはならないかな?
そう、Nさんは笑った。
私は少し背伸びして、Nさんの唇にキスをした。
「十分すぎるくらいの理由をありがとうごさいます、Nさん」
Nさんは私を抱きしめて、再びキスを私におとした。
明確な理由なんて捨ててしまえ
好きとか一緒に居たいとか、そんなので十分なんだから
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