「お腹すいた。グリーン、ご飯」
「……お前は遠慮ってモンがないのか」






ある日シロガネやまに行った。
以前、シロガネやまにバケモンみてぇに強いトレーナーがいるとか聞いて向かったのが事の発端。
そして、レッドがいた。


「お前っ、こんな所に…」
「あ、グリーンだ」
「あ、グリーンだじゃねーよ!おばさん心配してたぞ!?いつから帰ってない!」
「…?…数年?」
「馬鹿やろう!」

バコン!

「…グリーン、痛い」
「報いだボケ!メシは!」
「…木の実」

ポケモンはそれで大丈夫かもしれねーけど、お前それはねーよ!

「明日から俺が持ってくる!」
「えー…」



会話を強制終了させて、やまを降りた。
本当に俺はなんでこんな奴に負けたんだろうか。
なんだ、自己管理より強く強くなポケモン大好き人間レベルになれと?
ポケモンは大好きだが、自己管理はしたいんだ俺は!

それから飯だのなんだの持ってきてやったりした。
本当、コイツバトル以外は駄目人間だな。


そんなある日の事。
「おーい、レッドー」

いつものようにシロガネやまに行くと、レッドがぽつんと立っていた。いつもと同じなのに…なんだかおかしい。


「おい、レッド…」
「…グリーン、どうすればいい」
「…?何が」
「…拾った」
「………………………………………え!?」


レッドが首根っこ掴んでぶらぶらと持ち上げていたのはポケモン、ではなく…人間だった。


「…リングマに襲われてた」
「馬鹿野郎!そういうときくれぇ下山しろ!」

食料だけ置いて、そいつをひったくった。


「ピジョット、そらをとぶ!できるだけとばしてくれ!」
「ピジョ!」






リングマに襲われた時の傷は、レッドの発見が早かったからそう問題はなかった。しかし、そいつは凍傷でかなり危なかった。
ジョーイさんの手早い処置でなんとか助かったわけだが。


「良かったな、助かって」
「グリーン、さん…ありがと…です…」
少し赤くなって、俺にお礼を言う少女。

「えっと、ジョーイさんに名前と年齢を聞いてきてと言われたんだが」
「なまえです…。えっと…多分14歳」
「一歳差か…。なんであそこに?」
「えっと、遭難?…です」
「遭難?」
「数年前にシロガネやまに行って山篭もりしてたら…突然木の実が消えるようになって…空腹で…」


レッドオオォォ!
先住民?に迷惑かけてんじゃねーよ!


「降りようと思ったら、ポケモンも私も限界で…」
「なるほど」
「でも、もう大丈夫です、ありがとうござ……!?」
「馬鹿!いきなり動くな。死にかけたんだぞ!まだ安静だ」
「…はい」
「じゃあ、ピジョットで家まで送ー…」
「嫌!」
「へ?」
「私、両親心配性なんです。旅できなくなっちゃう!」
「…じゃあ…」









「ウチ来る?って言ったのグリーンでしょ?」
「お前はもっと謙虚だと思ったからな」
「謙虚な私!?」


アハハハと笑っているなまえ。
大分回復している。


確かに、ムカつくし、わがままだし、うざいけれど、この笑顔のある空間がなくなるのは寂しい気がする。


「大丈夫だよー、完璧治ったら出てくから」
いつのまにか、これがすごく嫌なんて、なんて異常。



「なぁ」


治っても一緒に住む気はないか?



「それってプロポーズ的な?」
「そうとってもいい」

いきなり、なまえが真っ赤になった。

「ーーっ!」
「どこ行く!?」
「どっか!」
「逃げんな!」


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