私はバトルサブウェイにて、サブウェイマスターである彼と闘い、勝利した。
…もう、終点だ。


「ねぇ、ノボリ」
「はい」
「好きよ」
「…は、」
「あなたのバトル」
「………ありがとうございます。あなたさまにそう言っていただけるのは、わたくしにとってとても嬉しい事でございます」
「動揺した?」


私がそう聞くと、ノボリはピタリと止まった。
珍しく無表情じゃないのね。
いや…無表情、だけど…少し違う。


「なににでございますか」
「分かってるでしょう?ね、恋人はいるかしら」
「なんの事だか分かりません。恋人といった関係の者は一応おりませんが、そういった私的な質問にはこれ以上お答えしかねます」
「そ」


つまらない男。
隠すのが上手いんだから。


「さぁ、もう終点でございます」
「そうね」
「あなたさまとまた闘えますのを楽しみにしております。あなたさまも更なる向上を目指して下さいまし」
「ん、ありがと」



ドアを降りる直前、私を見送るノボリの唇に私も同じそれを押し付けた。


少し味わった後、リップ音を鳴らしてノボリから離れる。




「あなたのバトルは好きだけど…あなたのバトルよりあなたが好きよ」



そう言って、ホームに降りる。
ちらりとノボリを見ると唖然とした顔をしていた。

やがてドアがしまり、サヨナラとなる。


「くく…あははは!」

みた?今のノボリの顔。
あの無表情が、あんな間抜けな顔をするなんて。
…嬉しい、好きな人の表情を変えられた事がたまらなく。




今頃ノボリはどんな顔をしているかと思うと、にやけがとまらなかった。


すき、スキ、好き!




「な、なんだったのでございますか今のは…!なまえさまの唇がわたくしの唇に…!?」
「ノボリー!…あれ、なんでノボリ頭抱え込んでるの?」


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