「ねぇ、ノボリ?」
「なんでございますか?」
「つまらなくない?」

私がそう言うと、ノボリは、はて?と首を傾げた。


「だってさぁ、私なら嫌だよこんな場所。ずっと電車でガタンゴトン揺られてさ」
「左様でございますか」
「私なら、外で旅した方がずうっといいよ。私の知らない世界とか見たいし、冒険して、知らない所をどんどん知ってる所に変換していきたい。…ここ、外は暗いし五月蝿いし景色ゼロだよ、つまんなくない?」
「しかし、わたくしにはこの環境が大変好ましいものに思えます」
「えー、うそぉ」
「嘘にございません。…あなたさまはそうおっしゃいますが、ならばなぜ、あなたさまは毎日絶えることなくバトルサブウェイに挑戦していらっしゃるのですか」
「…ーっ!のっ、ノボリの馬鹿っ!」
「…え」
「なんで私がここに毎日来てるか…?自分で考えなさいっ!」









そう言ってなまえさまは電車をおりていきました。

なんなのでしょうか、今のは。

あ、そうでした。今乗っている電車はカナワタウン行きの電車でありました。
…私も降りなければ。



つかつかつか。



?なまえさまがこちらへ向かって歩いてこられました。
…あれ、先ほど行ってしまった筈では。


「何故追いかけてこないイイィィ!」
「ぐふっ!」


なまえさまがわたくしの鳩尾に拳を入れました。
キツイです。



「な、なにをなさ…」
「普通ああいう時は追いかけてくるよね?ノボリの馬鹿馬鹿マジ空気読め!」
「ええと…」
「ノボリの馬鹿!もうひとつおまけに馬鹿!可愛く言ってアンポンタンンン!」
「な、何故泣いているのですか…!?」


なまえさまが泣いている事に、ものすごく焦ってしまう。


「ノボリの、ばか」
「……」
「だって、私は…」
「…はい」
「…………………………やっぱり、もういい」
「…は?」
「帰る」
「な、何故でございますか?」
「だってどうせフラれるもん」
「なにに…」
「…っ、ノボリに!」
「は、」
「じゃあね!」





「…っ、お待ち下さい」「!…はなして」
「好きでございます」
「…は?」
「わたくしは、なまえさまが好きにございます」
「はぁ!?」
「今気づきました」
「今かよ!」
「はい」
「って、うぉ!?顔、近、近っー…」
「なまえさ……ぐふっ」
「お前にはまだ早い!」
「しかし、なまえさまは確かにわたくしの事を好きだとー…」
「ぎゃわー!」
「そもそも、あなたさまの家は本当にカナワタウンなのでございますか」
「う゛っ、仲良くなった人の家に…泊めてもらって…ました…」
「今日からそれは禁止でございます」
「え」
「さぁ、わたくしの家に行きますよ」
「…なっ、ノボリの変態っ…!」
「クダリもおりますが」
「…っ!」
「残念でしたか?」
「っ、うるさいうるさいうるさーい!」



ああ、なんて愛らしい。


prev - next


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -