「なんで勝てないのぉ〜!?」
「お疲れ様」

叫ぶ私とは正反対に、おとなしめでなんだか大人びた空気が漂う目の前の男はバトルの相手である私にお疲れ様なんて笑顔で声をかけてくるのだ。
…対した余裕だね、イライラする。


「べっつに!」
イライラをぶつけるように、わざと声を大きく出した。

「どうしてそんなにイライラしてるのかな?」
「アンタはなんでそんなにのほほんとしてるの!?バトルする人って激しい人多いのに(なまえ調べ。若干誇張表現有り)」
「んー…穏やかな土地の育ちだから、かな?あ、でも雪降ってたか。うーん、まったりした人が多い地域…、うん、それかな」
「へー。まったりって…田舎?しかも雪国?」
「…うん、よく言われるかな」

それでもそいつはにこっとしていた。
…ああもう、イライラする。

「でも、そういう所で鍛えた僕らだから…君は勝てないんでしょう?」

そう笑って言った彼は、今まで見ないくらいでかい壁に見えた。
その、余裕が…っ!

「っ…、嫌い!」
「別に僕は君を嫌いじゃないよ?」
「アンタはね、負けてないからそんな事言えんのよ!」
「…別の意味で毎回負けてるんだけどね」
「は?」
「むしろ、君とのバトルは好き、だよ」
「…どうも。こんだけしつこくしてんのに、迷惑じゃないとか随分だね」
「まあ、好きだからね」
「まあ、それならこっちも気兼ねなくバトルが出来るってもんだけど…次は負けないんだからね!」
ほら、負けた


(今回も負けかぁ…)
(は?何に)
(鈍感という名の敵に)
(はぁ?)


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