「ぷくく…くすくす」
「ん?何か言いました?」
「なんでもないよ、ゴールド君!」
心の中では、爆笑の嵐ですごめんゴールド君。
でも可愛いよすごい可愛いよ。
「ふふっ」
「…何かさっきから先輩おかしくねーっスか?」
訝しげな顔で私を見るゴールド君を軽くあしらう。
只今私達はゴールド君の部屋でまったりしている。
さっきうとうとして思わず2人で昼寝してしまったのだけど、ゴールド君より早く起きた私はこっそりゴールド君につけてしまったのだ。
…そう、今日はにゃんにゃんにゃんの日。つまり猫耳をつけました!
…これがまたびっくりするくらいお似合いというかすごい可愛い。黒い猫耳をわざわざ購入して良かった。
ああもう、写真とりたい!
「ちょっと俺トイレいってきます」
そう言ってゴールド君は腰を上げた。
「えっ」
私は焦った。
何故ならトイレには鏡があった。
なんで鏡があるんだろう。夜中とか怖いじゃないか。
でも今はそれどころじゃない!
「待って!」
「な、なんスか」
「私を置いて…トイレに行くの?」
「私を置いてって…すぐ戻ってくるじゃないっスか」
「それは…そうだけど…」
駄目だ、トイレに行ってしまったら気づく。
絶対怒るし、この可愛さをまだ写真におさめていないのに!
私がそう悶々している間に、ゴールド君は消えていた。大分我慢していたらしい。
焦っていると、声が聞こえた。
どたどたと荒い足音も聞こえてきた。
私はそれを死刑宣告のように受けとめ、土下座の姿勢をとった。
さぁ、こい。
ガチャンと開いたドアに向かって、頭を下げる。
「ごめんなさい本当出来心だったんです。ついゴールド君の寝顔の可愛さに調子に乗りました!何卒、何卒お許しを!」
そう言うと、頭に何か違和感を感じた。
「ゴールド君…?」
「1日」
「え?」
「今日1日それ外さないで下さいね?」
付けられていたのは、猫耳だった。
「あの、1日というのは」
「それ付けて家に帰れって事っスよ」
笑顔のゴールド君からは何かオーラが出ていた。
ていうか、え。
「ご、ごめんなさいいいいいぃ!」
私はそれから、額が赤くなるまでひたすら頭を床に押し付けた。
ーーーーーーーーーー
私は…何がしたかったんですかね…?
ゴールド君は絶対黒猫耳似合うよはあはあ!
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