オレは今ストーカーにあっていると思う。

気持ち悪い熱視線をずっと感じているし、念は垂れ流しのようだからどうやら念能力者ではない。
ただの一般人の女だ。
どうせこの街を出れば追ってこれないんだからと放っておいたけれど、正直我慢の限界だった。


「あのさ、もう止めてくれる?」
「何をですか?」

その女はごろりと仰向けになっている。その上にオレがいるわけだけど、決してそういった…いわゆる性的描写ではない。

「じゃないと殺すよ?」
「どうぞ!」

そうニコニコと笑う女はあまりに気味が悪くて、オレは思わず力を込めた。
ドクドクと赤い血が流れて、彼女は絶命した。




*




「どうしてこうなった」
「愛です」

彼女は今、オレの隣にいる。
正確には、半透明の彼女が。

「君…念能力者じゃないよね?」
「ネンノウリョクシャってなんですか?」


キョトンとした顔で目をぱちぱちとする彼女に嘘は無い。

「なのになんで君はいるかなぁ」
「ユーレイですもん」

そう、彼女は幽霊だ。
なのに、今の彼女には気味悪さを感じない。

「それに私は君じゃなくて名前ですよ」
「うん、じゃあなまえ」
「はーい」
「君はなんでわざわざ死のうとした?」
「あなたも望んだじゃない、私が死ぬのを」
「それはそうだけど」
「それに、私はあなたに一目惚れして、もうあなたがすべてになっちゃったから。だからあなたと一緒にいられる方法で一番いいのを選んだ。私間違ってる?」
「だからって幽霊になれるなんて普通思わないだろ」


はぁ、とため息をつく。
すると彼女は相変わらずのにんまりした顔になった。


「死ぬまでよろしくね」
「君は死んでるんだから死んでもじゃないか」
「そうともいいます」

とんでもないのに憑かれてしまったと、オレはもう一度ため息をついた。


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オチはありませぬ


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