「フランの髪って綺麗だよね」


言いながら自分の髪の端を持ち上げる。

私の黒い髪。綺麗に洗って手入れもしてるのに、どうしても髪質のせいか、パサパサとしてしまう。
お世辞にもサラサラで綺麗ですねとは言えない髪。


「フランはいいなぁ。サラサラでおまけにエメラルドみたいに綺麗な色だもん」
「そうですかー?」
「うん、うらやましい」


フランの髪を摘んで離すと、ふわりとした。
…私のはバサッと落ちちゃうのに、くやしい。


「フラン、ずるい」
「何がですかー?」
「女の私から見ても可愛いんだもの。ずるい」
「はー?何てー?」
「フランの髪質欲しいー!」
「……チッ」
「え、舌打ち」
「いい加減ウザいんですけどー」
「ひどい!」

ただ私は、私の可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いかーわーいーいーフランを見つめていただけじゃあないか!


「だって超フラン可愛いじゃん、マジフランテンション上がる」
「その上がったテンションが怖いんですけどー」
「あー、フランが彼氏とか私釣り合わないよね本当。いつ別れ話切り出されるやらー…」




ぐるん、と視界が反転した。
視界の中には天井とフラン…。


「何故!?why!?」
「あー、うるさいなー」
「なっ…!!んぐむっ…!」


フランに口を塞がれた。ベタにキスで。


「んぐぐむぐんんー!!(苦しいフラン)」
「いい加減キスしながら息出来るようになって下さいよー」
「だって、難しいよ」
「簡単でしょー…」
「あっ、あきれるなぁ!」
「というかですねー、男に可愛い可愛いって喜ぶとでも思ってるんですかー?」
「…え?」
「あー、もうムカつくなー」


こしょこしょと口に出しながら、私の脇は腹をくすぐりだしたフラン。


「ぎゃっ、やめてフラン!ひゃっ、あはは、あはははははは!」


笑いが止まらなくて、目に涙が浮かぶ。
首と脇と腹は弱点なの。つまり全部なの。くすぐったいの本当に駄目なのおおぉぉ!


「きゃはははは!!フラン、本当に、んぁ、やめ、ふは、止め、ひゃぁっ、あはははははは!!」


何コレいじめ?



「ミーを可愛い呼ばわりした罰ですー」
「もっ、やっ、フラ…ふはふあはは!!んっ!!」


フランがくすぐりながらキスをしてきた。どういうことなの。


「ひゃ…んぐ…む…ひっ…」


くすぐりながらキスとか何の拷問!?
しばらくすると口と手が離れた。


「ぶひゃっ…なにすっ…!」
「仕返し、ですよー」
「は…?」
「ミーはなまえにかっこいいって言われたいのに可愛いばっかで、あーヤダヤダ」
「…あっ」
「それにそんなキスされて真っ赤に涙ぐんだ目のなまえの方が十倍可愛いと思いませんー?」
「………!」
「ほら、そういう顔がー…」


す、と私の頬に手が添えられー…


「調子にのんな!バカガエル!」
「ゲロ!」


フランの鳩尾に一発。


「ゲホッ、何しやがるんですかー…」
「フランが私の弱点を攻めたから私もフランの弱点を、ね」
「弱点の意味が違うんですけどー…」


あー痛ー…とか言いながらお腹を押さえてるフラン。
力を入れていない状態での鳩尾はそりゃあもう痛いことだろう。


「フラン!」
「なんですー?今ミーはー…」
「私、ちゃんとフランの事格好いいと思ってるよ!」
「……!」
「じ、じゃあね!」
「待ちましょうかー」
「うわっ!」


ダッシュで逃走を試みたら腕を掴まれた。
うわああぁぁ!


「離して!」
「やですー」
「はーなーせー!」
「なまえ真っ赤」
「…っ!」
「かーわいー」
「うるさいうるさいだまれー!」
「だって可愛いんですもーん」



言うのはいいけど



言われるのは恥ずかしいから嫌いよ!



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わけわかめ


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