(ネタバレも微妙ーにあったりします。あと死ネタ(老衰です)入ります注意)











私が呪われて帰って来た時、彼女は泣いた。


私は彼女の涙が嫌いだった。
愛している彼女が悲しみに打ちひしがれる姿が嫌だった。
私は彼女の涙を止められる存在でありたかった。

彼女は手術が必要だった。
なので多額の報酬という任務に思わず食らいついた。

彼女は危ないから止めてと言ったが、私も引けなかった。
小さい任務じゃ到底間に合わない額なのだ。





…その結果がこれだ。



「…いいですか、なまえ。ここにあるお金を渡します。手術費用・入院費・体の負担でしばらく働けない分のお金はこれでなんとかなる筈です」


私では、…この体では彼女を幸せにはできない。
普通の恋人同士の幸せの大半を放棄する事になる。

私は、彼女が幸せならばそれが良かった。

なのに、彼女は私を抱きしめて言った。
こんな前みたいに背中まで手を伸ばして抱きしめる事さえ出来ない小さな私でも彼女は。







「生涯、貴方を愛します」







私はこの呪いが大嫌いだった。
しかし、彼女は呪われた私をも愛してくれた。
私が何十年と赤ん坊の姿であっても、彼女の時は止まらず彼女は老いていった。


本当なら一緒に時を刻みたかった。

一緒に小さな家で暮らして、時たま来る孫に手を焼いて、でも可愛がる。そんな夫婦になれた筈だったのに。


「…任務に行った事、後悔してる?」


もう彼女は長くなかった。
しかし、天寿を全うする程に生きた。


「してませんよ。貴女を助けられたのだから。…私は、貴女を愛しているから。でも、すみません、なまえ、すみません。貴女をちゃんと幸せにできなくて」


何言ってるの、風。
私、幸せだったよ。
生涯貴方を愛せた事がどんなに幸せだったか。
ありがとう風、ありがとう。愛してるわ。
これからも、ずっと、貴方を愛してる。












それが、彼女の最後の言葉でした。















夢がありました。
元の姿になって、彼女を抱きしめるという夢が。

もうそれが叶わない。

月に一度、私は彼女の墓に訪れる。
昔は毎日訪れたが、諸事情により、日本に居るため月に一度が限界だ。
愛している。…この先どうなっても、愛していたにはしたくない。
死してなお私を愛してくれている彼女を私は想い続けるのだ。


例え、自分だけが時間の波に何百年と取り残されても。









「生涯貴女を愛します」




いつか、呪いの解けた姿で、貴女を抱きしめにいこう。





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ジャンプ読んでて、「絶対風さんはお金じゃ動かないな!」って思いまして。
誰かを助ける為に多額の報酬を聞いて引き受ける。
どうでしょう、風さんっぽくないですか!←私だけでしょうか!

風さんが呪いを解こうとしてるのは、彼女を呪われてない姿で抱きしめる為!とかだといいなあとか思ってみたりしまして。
でも呪いが解けたら死ぬんじゃなくて、ちゃんと天寿は全うすると思う。
じゃないと彼女が怒るから!


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