「ねぇなまえー」
「はいはい、なにかしらフラン?」
「今日はキスの日らしいですよー」
「へー」
「…もう分かりますよねー?」
「分かんないっつーのよ。何が分からないって私が壁に追い詰められてるあたり」
「やだなぁ、壁にはりついてなまえ誘ってるんですかー?」
「んなわけあるか」


私は壁にべとりとはりついている状態である。
フランがにこにこ顔(何か企んでいる時の極上の笑顔)で、ゆーっくりと私に寄ってきたのだ。そら怖いじゃないか。


「…なまえ」
「なによ」
「そんなにミーとキスしたくないんですかー…?」


ミー達新婚なのにー。とか呟きながらあからさまにシュンとしているフランに私は慌ててしまう。


「ち、違うのフラン!」
「何が違うんですかー…?」
「フランと、キスすると…」
「……」
「変な感じがして力が抜けるから怖いんだもん…」
「…なんですかこの可愛い生き物ー」
「へ」
「そろそろ子供作るってのもいいですねー…」
「なっ、なっな…!」


「せめてキスで!」と叫ぼうと思ったのに、あまりに慌てて舌が回らず、そのままフランが私を抱き上げてベッドに歩き出した。


「うわー!助けてー!」
「2人の家に誰かくるわけないじゃないですかー…」


え、どうするんだ!
ついに私やっちゃうのか!?
結婚してるとはいえー…。



「フランー、いるー?明日の事なんだけどー」

ドアの向こうで呼びかける綱吉お兄ちゃんの声が聞こえた。

「…フラン」
「…なんですかー」
「…行きなさい」
「やですよ」
「行け」
「あのクソボスー…」


どうやらこんな攻防がまだまだ続くようです。


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