「やっばー…」
土日の休日を終えて此方へ来てみれば、やはりシャルナークは居なかった。
勝手な想像だけど、昨日一昨日は居たんじゃないかと思う。
彼は私の話をとても興味深そうに聞いていたし、ぱったり来なくなったりはしないだろう。
あと、1日ぐらいは偶然かと次の日も来てそうだ。なんだか用心深そうだし。
…悪い事をしてしまった。
…一応明日また来ようか。あぁ、でも茅琉がなー。
「ねぇ」
「…?」
どこか聞き覚えのあるような、ねっとりとした声のする方に目をやった。
その瞬間、喉がなった。
…どうしよう、と思いに連動して、心臓は痛いくらい鳴っている。
「…ひっ」
「最近シャルナークがさ…まぁ、最近っていっても殆ど別行動だしあれだけど…なんかこの時間になるとヨークシンの駅に向かうからさ。ちょっと後をつけてみたんだよね、昨日」
「……っ」
おい、シャルナーク。お前何後つけられてんだ馬鹿やろう!
「彼、何か探してるみたいだったけど……それ、キミだろう?」
「なんの…ことですか…」
「さっき、どうやったんだい?急に現れたよね」
「…気の、せいです」
「嘘だよ」
「……っ」
…あと、あと30秒だ。
そうすれば、私…!
「どうして時計を見てるんだい?」
「……あ…」
「今度は消えるのかな?」
「……っ」
「逃がさないよ」
そう言われた瞬間、私は電車から放り出された。
…あぁ、あと5秒だったのに。
「ごめん、茅琉」
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