「…なんでいないのさ」

ある日、電車に行くとなまえが居なかった。
…次の日も、居なかった。
どうして突然居なくなったのか。
なまえと会ったのはたった数日だ。片手で数えきれる位の日数しか話していない。
…しかもその中の、30分だけ。
それで彼女の何が知れたというわけでもないけれど。


此処にはもう来ないのだろうか。
来れなくなったのか。
はたまた別の世界に行ったのか。

…オレに知る術は無い。
元々が不安定な関係だった。
いつ会えなくなるか分からないという事くらい、知っていた。
知っていて、慰めた。
知っていて、問いかけた。
知っていて、言った。



「…約束みたいなもんだからね」


君はこの世界の者では無いけれど、この世界からもしかしたら完全に消えた君を、オレだけはずっと忘れないでいてあげる。


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