「…つまり、なまえはいつも…毎日のように、ハンターの世界に行っていたの?」
「うん…」
「それは、とても怖い事だよ」
茅琉は私の手を握った。
その手は少し、震えていた。
「…なまえは、ずっとそうやって無事帰ってきたから感覚は麻痺してるかもしれないけれど…もし、いきなり帰ってこれなくなったらどうするの?もし、向こうで…こ、こ」
殺されてしまったら、と茅琉は言いたいのだろう。
言葉にはできないだけで。
それほど、恐ろしい世界だという事は茅琉も知っている。
「行かない方法は無いの?」
「えっ、あー…」
「どうしたの?」
「あるっちゃあ、あるけど…」
「なんだあるの」
茅琉はちょっとホッとした顔をした後、じゃあそうすればいいでしょと言ってきた。
「要はさ、この時間の電車に乗らなければいいんだよね。5時半きっかりに飛ぶから」
「じゃあ1本遅い電車にしなよ」
「えー、でもそれじゃあ随分遅くな…ハイ、そうしますスミマセン」
…そんな目で見ないで下さい茅琉サン。
そんな事でいままで乗ってたのって目で訴えないで下さいつらい。
「あ、でもそれ言いたい人いるんだよね。向こうでお世話になった人いるから、悪いしそれだけ伝えたらおしまいにするよ」
「…1回だけだよ」
「うん」
シャルナーク、君にきちんとお礼を言いにもう一度だけ行くよ。
「…あ」
「ん?」
「明日休みだ。電車乗らないじゃん私」
「…どんまい」
「…んー」
シャルナークの事だから明日とかも居るだろうなぁ…。
むしろ月曜日…居ればいいけど…。
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