「それ、は…」
私がもごもごしている間に、シャルナークは消えていた。
…シャルナークが消えたというより、向こうの世界から私が消えたという方が近いだろう。
(…あれ?)
消える。
そうだよ、私からすると行って帰ってきているような感覚だけど…他の人からすると突然消えて突然現れて見える筈、なんだ…。
シャルナーク以外がこの異変に全く気づかないなんて、おかしいんじゃないか?
「…………」
毎日この電車に乗っていても、分かる事なんて極々僅かで。
むしろ分からない事、不思議な事がどんどん増えていく。
ひょっとしたら、ふとした弾みに戻れなくなる事もあり得るんじゃないかなんて。
私はいつになく不安になっていた。
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