「うげ…疲れた」
多分3分の2くらいだろうか。
息が荒くなってきた。
本当にあと3分の1ならなんとかギリギリってとこだろうなー…。
あーもう、イルミさんのせいでペース配分狂った!
それにしても、あの距離走った後この階段を登るだなんて、本当ハンター世界の住人は化け物じみている。
私もあっちの世界じゃ充分化け物レベルだったと思うんだけどなー。
様々な暗殺を阻止したという、最上級のボディーガードとして国レベルのお偉いさんからかなり重宝されていたくらいだ。
しょっちゅう色々な国を飛び回っていた。
先に私を暗殺しようと企てられたりしたけど、念もあるから楽勝だったし、毒も効きにくいから…うん、向こうの人から見れば人外にも程があっただろうなー…。
「…はは」
そんな私でも、ハンターの一次試験でギリギリ…。
あー…二次元っておっかない。
「随分疲れてるみたいだね」
「ヒソカ…さん…」
もう疲れすぎて怖いとか考えられないレベルです。
「ヒソカさん…私脱落したらどう思いますー…?」
「まずイルミが怒るんじゃない?」
「ですよねぇ…。あ、ギタラクルさんって呼ばなきゃ駄目ですよーちゃんと」
確かこの後のヌメーレ湿原もぬかるみが酷いから、ローラーブレードは使えない。
かといって、念で云々はまだしたくないしー…。
「でも結構疲れましたー…」
正直なんとか気力でもたせているようなものだ。
「うーん、そっか。じゃあ仕方ないね」
「…え、…ぎゃあ!?」
ヒソカさんに担がれた。
な、何事…!
というか高い!
「ヒ、ヒソカさん!?」
「君はこの後も楽しませてくれそうだからね」
「それはあまり嬉しくありません!そしてこの担ぎ方やめて下さい、下着丸見えです!」
周りに沢山人が居る状態でこれはなんたる仕打ち!
2次試験が終わったらタイツかレギンスはこう、そうしよう!
「ちょっとヒソカ…うちのペットにまた何してんの」
「ぎえぇ、イル…ギタラクルさん!」
相変わらずの神出鬼没である。
さっきのせいで顔が異様に熱い、つらい。
「この子辛そうだから助けてあげようかなって」
「は、このぐらいで…?…トルテ、家帰ったら覚えてなよ」
ヒエエェェ…!
一気に顔が赤から真っ青になったのが分かる。
きっと持久力強化させられる!
あの悪夢の特訓の日々を再び…!やだもう帰りたくない。
「ヒソカさん…私もう家帰りたくない」
「うちくる?」
「いくいくー!って言いたいくらい今追い詰められてますね…ハハ」
「本当に来てもいいよ?」
「いやー…」
だってヒソカさんじゃん。
私の純潔絶対奪われるね。自意識過剰ではなく。
「ね、イこうよ」
うん、絶対行かない。
「何仲良くしてんの」
「イ…ぎゃあ!」
「おや、残念」
ヒソカさんに担がれてた私をイルミさんが奪って担いだ。
掴まれた所が痛い。
「いたた…何するんですかギタラクルさん」
「トルテが勝手にヒソカと仲良くしてるからだよ」
「別に仲良くしてたつもりはありませんが…」
「ペットは飼い主以外に甘える必要はないんだよ」
「あはは、涙が」
相変わらずペット扱いだよ私。
さっき久々に結婚云々の話出された気がしたけどやっぱりあれ幻聴か。
そんなやりとりをしているうちに、光が見えた。
…ヌメーレ湿原まであと少し。
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