走り出して4時間はたったはずだ。
まだまだおわりは見えない。
まあ、たしかこれの倍以上はあるのだし…ローラーブレードとはいえ疲れるなー。
みんなこの距離走ってるなんて…凄い。
「大丈夫?」
「……」
親指立てて返事をくれたけど、汗が尋常じゃないよ。
「…レオリオ、本当に大丈夫?」
「……っ」
ドサッ。
何かが落ちる音がした。
…レオリオの、鞄。
「レオリオ!」
「ほっとけよ。遊びじゃないんだぜ、ゴン」
そう、遊びじゃない…。
完全なる実力社会のー…。
でもねぇ…。
「…キルア君、あなたもっと言い方ってものがないの!?」
「んだよ、また姉貴面しやがって!」
「じゃあ私今キルア君のお姉ちゃんになる!はい、なった!さぁ物言いさせろ!」
「お前馬鹿か!?」
ぎゃいぎゃいと言い合いをしていると、レオリオが「ざけんなよ」と呟いた。
あの…、すみません。
「絶対ハンターになったるんじゃー!くそったらァー!」
そう叫んで全力疾走していった。
あ、そっちだよね…。
でも、それでこそレオリオだよ。
「レオリオかっこいーい」
「かっこいい…?おまえ…」
「ん、なに?」
「別に」
ムスッとしたキルア君を見ていると、今度はゴン君が釣り竿を使ってレオリオの鞄を手に取った。
かーわいー。
「おー、かっこいいー。後でオレにもやらせてよ」
「スケボー貸してくれたらね」
そして着実に育んでいく友情を見てニヤニヤするのが私です!
「……んっ」
「…っ」
嫌ーな感じがした。
「今…変な感じしなかったか…?」
「んー?気のせいじゃない?」
「…でも、今お前も…」
「…あのさ、私ちょっと用事できた。2人は先行ってていいよ」
「は、用事!?こんな所で…?」
「いーから!」
そう言って2人から離れた。
…うん、居る。
「…キルア君がゴン君達と仲良くしてるからって殺気放たないで下さいよ。ギタラクルさん」
「…なんでアレ邪魔しないの」
「別にこういった面ではギタラクルさんの味方にはなれないですねー。あと、そこで私が変に出しゃばったら多分あなたが居るのバレますよ」
「ふぅん……。まぁ、バレる危険は避けたいし様子見かな」
私はたとえこういう形で彼らに関わっても、基本的に原作を壊す気はないのだから。
それに、ずっと普通に憧れていたキルア君が、やっとゴン君達と出会えたんだ。
邪魔できるわけない。
「…あ」
前方に高い高い階段が見えた。
とりあえず、ローラーブレードをとり、リュックに戻した。
「あー…やだなー」
思わず声に漏らしながら足を動かして階段を登っていく。
「諦めていいですか…?」
「駄目だよ」
「ですよねぇ…」
あー、やだなぁ…。この後は森の中走らなきゃだし…。
んー…だるい。
ただ、ずっとローラーブレードを使っていたからまぁマシなのだけど。
とりあえずここからが私にとっての本格的な試験だ。
「そういえばさぁ」
「はい?」
「さっきキルの姉になるとか言ってたけど、あれ俺と結婚するってやつ?」
「ゲホッ」
思わずむせた。
何を言ってやがるこの野郎!
「ち、違いますー!」
「おー、速い速い」
叫びながら、一気に階段を駆け上がった。
くぅ…っ、顔が熱い!
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