「いらっしぇーい!!」

炒めもののいい香りがする。

「ご注文はー?」
「「ステーキ定食」」
「焼き方は?」
「「弱火でじっくり」」
「あいよー」
「お客さん奥の部屋どうぞー」


そんなやりとりをして、奥の部屋に行くと、お肉が焼けるいい匂いがした。
あ…うん、美味しそうなんだけど…ね。

「はー…来ちゃったなぁ…」
「もうそんな気分になってるの?」
「というかなんで場所知ってるんですか?」
「教えてきた」

教えてくれた、じゃない所がポイントだろうか。
多分その人はヒソカさんだろう。

「…イル…ぎゃあ!」
「何」
「か、か、顔…!」
「ああ」

ふとイルミさんを見ると、顔がギタラクルになっていた。
生で見ると気持ち悪…っ、うぷ…。

「俺の事はギタラクルって呼んでね」
「…へ」
「キルに俺が来てる事バレるような事したら…、分かってるよね?」

その言葉にコクコクと何度も頷いた。
まだ死にたくないです。

そうやって話していると、「チン!」なんて可愛い音がした。


「…ついた、着いてしまったああぁぁぁ」
「うるさいよなまえ」
「へぶっ!」

頭をひっぱたかれた。痛いぞこのやろう。




「302番…か」

私の番号は302番だった。イルミさんの番号は原作通り301番。
まぁ、主要人物の番号が変わらなければいいけど…。
ゴンたちより前に来た事で彼らの番号が変わりませんように…っ!
そんな事を考えていると。

「…あれ」


イルミさんが居ない。
まったくもう、置いていくなんて。

「イ…ギタラクルさーん?」

やっぱり、人がいっぱい居て分からないや。


「やあ、君今回初めてだろ!」
「…はぁ」
「俺はトンパ!まぁ、お近づきの印にこれやるよ」
「あ、新人潰しの人か」
「えっ」

いきなりどかどかと近づいてきてペラペラと話してきた人の名前を聞いて、原作の事を思い出した。
うん、たしかこのジュースには下剤とかが入ってるんだよね。
毒に比べれば優しいもんだ。

「それ、下剤入ってますよね?」
「!?そん…」
「飲んであげましょうか?」
「…え?」
「どうせあたし、その程度のものなんて効きませんから」


そう笑うと、トンパさんは「い、いい!」と言って、足早に人ごみに消えていった。
あはは、顔真っ青にしちゃってもー。おっもしろいなー!キルアがからかう気持ちも分かる。クスクスと声を漏らしていると…。



「ぎゃあぁーっ」


叫び声が聞こえた。


「アーラ不思議。腕が消えちゃった」

独特の声が聞こえた。
…うん、ヒソカさんだ。
ちらりと見ると両腕が無い男の人が叫んでいる。
んん…酷い。

「気をつけようね。人にぶつかったらあやまらなくちゃ」

そのくらいで人の腕とらんでください!


「…ヒソカさん」

とりあえず話しかけると、ヒソカさんは私の方を向いた。

「おや、君はイルミのペットの…」
「それは置いていて、此処の場所教えて下さってありがとうございました。でも、私はあなたに殺されかけた事は一生忘れないつもりなのであしからず」
「…うん、相変わらず君はイイ」
「まぁ、一応日本人の性でお礼は言いたかったので。あ、イル…ギタラクルさん知りません?」
「うん、その辺にいるよ」
「それは知ってますよ…。自分で探します…では」


ヒソカさんから離れて、ふぅ…と息を吐いた。
あー…やっぱりヒソカさん怖いわぁー…。
出来ればあんまり話したくないなぁ。うん。
それでもお礼は言いたくなるのが日本人の悲しい性です。ハハ。


イルミさんを探して、フラフラしていると、キルア君を発見した。
どうやらトンパさんが持っている例のジュースをぐびぐび飲んでいるようだ。
いくら効かなくても体には悪いんじゃないかしら…?今更だけど。
…あの、イルミさんの事バレなきゃいいよね。
だって半年ぶり!可愛いキルア君が半年ぶり!


「キルア君ー、その辺にしときなよー」
「げっ、さっきの…!」
「トルテ!?お前あれからどこ行ってたんだよ!俺らがどれだけ…」
「うん、ちょっと色々あってね。うふふー、会えて嬉しいよキルア君!」
ぎゅっ、と抱きつくとキルア君は私を押しのけた。
照れてる雰囲気だ。うふふふふ。
「…俺、トルテが俺ら嫌って出てったのかと…」
「それはないない!むしろ大好きよ」

そうやって撫でるとキルア君は少し口元を綻ばせた。可愛いなぁもう。

「ていうかそんなに飲んでどうしたの。後でトイレ行きたくなっても知らないよ?」
「大丈夫だって!だって、この人が無駄な事してるからさぁー」
「ん、あぁ確かに無駄だけどね」
「…え」
「俺らはこのぐらい平気だよ、訓練してるから。毒じゃ死なない。行こうぜトルテ」
「え、あ、うん!」

まぁ、1人は寂しいし…イルミさん見つかるまでキルア君と居よう。
…毒じゃ死なない…か。
あのぐらいじゃ勿論死ぬ気しないけど、キルア君と比べたら怪しいなぁ…私。



そんな事を考えていると…。


ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!


「ではこれより、ハンター試験を開始いたします」


長い長い、ハンター試験が始まる。


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