「え?」
「ん?」


なんでイルミさんがいるんだ?

辺りを見渡すと、以前は飽きる程見たゾルディックの屋敷のようだ。
この部屋は知らないけど、雰囲気が。


「お、お久しぶりです」
「うん、久しぶり。どこ行ってたの?」
「さ、三次元に…」


なんだろう、イルミさん普通だ。
久しぶりと返したという事は同様に此方でも半年経っているだろうに。
あっちだと居ない間は時間経過しなかったんだけどなー…。
…というかなんで私こっちにまた来たの?
前は殺されない為で、今回は…何?


「この部屋って何の部屋ですか?」
「此処?俺の部屋だよ」
「えっ!」


辺りを見渡すと、照明もベッドも家具も何もかもが豪勢だ。
あっちの世界の私の部屋も大分大きくはあったけど、やはり此処とは次元が違う。
そのままの意味でも。
…ただ。


「…なんか、荒れてません?」
「…ああ」

ふい、と周りを見てからもう一度私に向き直った。

「ちょっとね。まあ気にしなくていいよ」
「…?そうですか」
「あ」
「どうしました?」
「おかえり、なまえ」

おかえり。
その言葉に私は驚いて、そして。

「た、ただいまです!」
「何ニヤニヤしてるの?」
「何でもありません!」

どうしようもなく、嬉しかった。

「というかなまえ」
「はい!」
「随分いい格好してるね?」


…は。
思考が一時停止した後、ゆっくり自身の身体を見た。
そういえば、訓練が終わって服をー…。


「…き」
「き?」
「きゃあああぁぁぁ!」


ばちーん!と思わずイルミさんの頬を叩いた。
いや、今回はイルミさんに非はない。
非はないけど!


「もっと早く言って下さいばかー!」
「訓練…ちゃんと続けてたんだね」


今はその話は置いて置こうよイルミさん!

「なんか上着下さい」
「…これでいい?」
「なんでもいいです。どうも」

とりあえず受け取った上着を羽織る。
これで下着は見えないだろう。
ふう、と一息つくと、突然扉が開いた。


「イルミ様!」
「ぎゃ!」
驚いて小さく声をあげる。
ああ、上着ひっかけた後で良かった!
しかし、入ってきた執事らしき人は私をちらりとも見ずに、焦った様子でイルミさんに向かって言った。



「キルア様が奥様とミルキ様を刺して屋敷から出ていかれました!」



…え。

私はバッとイルミさんを見た。
…その時のイルミさんの顔を、私は忘れないと思う。


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