眠い、眠い、眠い。
なんでかなぁ、どーしてかなぁー…。
さっきは確か、ヒソカさんが私の精孔あけやがって、纏をできたもののそのまま意識失ってー…。


「んー?」


ぼやぼやする、ぼやぼやーもやもやー。


「はれ?」
「何寝てんだよお前!」
「ええ?」


『その声』の方を見ると、あら懐かしい。
そっか、私は『帰って』きたんだ。
…イルミさんに纏の手助けのお礼ちゃんとしたかったなー…。


「お久しぶりです…」
「あ?」

そこに居たのはあの私を殺そうとしたジャック犯であった。
実に二年ぶりの再会である。なんと嬉しくない再会だろうか。
感動もへったくれもありゃしない。


「もういい!お前ムカつくんだよ。あと5秒でお前を殺す!」

多少は違うものの、この台詞も実に二年ぶりだ。
でもあの頃と違って、もう恐怖は無かった。
あぁ、もう。


「刃物で私を殺す?」
「そうだよ」
「無理ですよ」
「は?」
「まず私の拘束の仕方がなってないし」


ああ、此処は、私の生まれ育った此の世界は。


「刃物はだーめ」
「あ?あ゙あ゙あぁぁ!」


こんなに、脆かっただろうか。

「あれ…」

刃物を持つ手を払った。
それで彼の手首は折れたらしい。

「すみません、大丈夫ですか…?」
「殺す、殺す殺す殺す殺す殺してやる!」
「無理ですよ」


私は弱い。私は無力。私に才能なんて無かった。
…昔はそうだった。でも今それを口にしたら、きっと嘘だ。
あの私が『殺し』をしてしまった時に、イルミさんが言ったように。
ハンターの世界に飛ばされたのだって、『強くなれる保証』があるから飛ばされた。
きっとハンターの世界は私の『才能』を開花させるのに一番良かったんだ。


「だって私はきっと、この世界の誰よりも強いもの」

自惚れじゃなく、この平和な世界で私はきっと所謂最強だ。

「は…!?」
「あなたなんてさぁ、まだ誰も傷つけてないし、誰も殺してないじゃない。まぁ迷惑はかけてるけど。いいなあ、刑務所で数年反省すりゃあ許されるレベルでしょ?うらやましいなぁ、人生交代したいわぁ」
「何言って」
「諦めて捕まんなよ。じゃなきゃ、まあ過剰防衛入るかもだけど…正当防衛にかこつけて肘折るよ。再生不可能にでもしちゃうよ?私」

悪いけど、もう私はそういう事に戸惑うような人間ではなくなってしまったから。



「ねぇ、どうする?」
腕を掴んで思い切り握る。
悲鳴をあげるジャック犯に私は同情はしない。

私の身体は、力はすっかりあっちの世界仕様になってしまった。

あのね、全てはあなたのせいだ。


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