「ねぇ、キミ」
「はい?」
「えいっ」

かっこ笑い、が付きそうな口調で彼は私に触れた。
ぐん、と押されたような感覚の後の衝撃の後、ぶわっと体から何かが吹き出すような感覚。
あれ、これ私から湯気みたいなの出てません?なに、これ。
…てか、え、ちょ、まっ。

「ひ…そ…」
「早く纏しなきゃ死ぬよ、君」
「え?」

…あ、そうか…コイツ。

「し、精孔開きましたね…!?」
「正解。やっぱり知ってたんだね」

そう笑顔で言いやがったのは、変態ピエロもといヒソカさん。
なんでヒソカさん居るんだよ。
いやいや今はそんな事どうだっていいんだ。
纏出来なきゃ私死ぬぞオイ。
何してくれてんだよヒソカさん。馬鹿なの?死ぬの?いや、死ぬの私です。つら。


「あぅぁ…っ」


平常心、平常心。
そんで、これを纏う感じを…えっと、血液のように流れる…?ゆらゆら私の周りに…んん?とりあえずイメージ!イメージするのよ私!


「んんっ…!」


駄目だ、緊張して力が入る。
落ち着くの、落ち着くのよ私!


「…なまえ、落ち着いて」
「イルミ…さ…」
「目を閉じて」
「ふぁ…」
「頭のてっぺんから、右の肩、手、足を通って左側にいくのをイメージして…」
「は…ぁ…」
「…そう、それがゆっくり止まって、体の周りを揺らいでるのをイメージするんだ」
「ぃ…ぁ…はぁ…あ…」

どくん、どくんと嫌なくらい心臓の音が響く。

「…あ」

そして、見ると湯気は私の周りでゆらゆら揺れていた。

「纏、出来てるよ」
「…っはい」

でも力が入らなくて、イルミさんに支えられる。

「とりあえず、今は寝ていいよ。運んどくから」
「すみ、ませ…ありが…おやす…みなさいー…」


というわけで私は寝まーす。







「あのさぁ、何してくれてんのヒソカ。勝手に出歩いて、勝手にうちのペットに手出して」
「んー、なかなか美味しそうだなって。まだ青い果実だけど」
「は…?何言ってんの?」
「なまえってその子の名前?可愛いじゃないか」
「気安く呼ばないでくれる。この子はトルテ。君もそう呼んで」
「つれないなぁ。…うん、トルテね」
「うん」
「…って、アレ?君のペットは?」
「…あれ?」


気がつくと、俺の腕の中にいたなまえは居なくて。



…消えた?


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