私は気づいてしまった。

「トルテちゃーん」
「はい!」
「今日はこれ着て下さいねっ!汚したら独房行きよぉ!」

独房行きよぉ!じゃねぇよ!
と思いつつ、頬をひくりとひきつらせながら「はい」と答える。
気づいたってあれだ、この人着せ替え人形が欲しかっただけじゃねって事だ。
そりゃあゾルディックの美形揃いに比べりゃ私なんて平々凡々というか…比べなくても中の下くらいとか理解している。
それでも、女の子なら服を着せる楽しさは別格なのだろう。
まぁ、他男だからね。男の娘はいるけど。
というか私はこれから訓練なのだ。
体力の無い私に汚さないようにとか不可能だけど、独房はやだ。困る。
あれは、一瞬死んだ方がマシじゃね?とか血迷うぐらいにヤバい。

…というわけで、訓練用にイルミさんに貰った服着て、終わったらこのレース使いのヒラヒラのお洋服を着ちゃうわよ。
そうと決まれば私の部屋へ。
初日にイルミさんに放り込まれた8畳のお部屋。
ベッドとクローゼットだけがぽつんと置いてあって、クローゼットの中だけ異様に充実したお部屋である。
「ペットの小屋には充分でしょ?狭いけど」とか言われたけど充分です。8畳とか私の一人暮らしの部屋より広い。

因みにドアには「トルテちゃんの小屋」と書いてある。
明らかにこれ考えたのキキョウさんだし、部屋でなく小屋というのがミソだ。
ははっ、どうせペットですから。ゾルディック家の兄弟と張り合うなんて無理ですし。
番犬くらいにはなれるようにしろって言われたけど無理だよね。あれじゃん、此処でいう番犬ってミケじゃん。基準が違う。



ひとまず、タンクトップとショーパンをはいて、スニーカーをはく。
よし、これでキキョウさんに会わないように訓練室へー…。
そう思って思い切りダッシュをすると、ドンと人にぶつかってぶっ倒れてしまった。此処に居る人にぶつかると、鉄の壁にぶつかったくらいの衝撃を覚える。というか、やばい!

キキョウさんだったらどうしようと相手を見ると。


「大丈夫かー…って、お前だれ?」


可愛らしいキルア君がそこにおりました。


prev - next


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -