ふかふかふわふわ。
例えるなら雲の上にいるような。温かく大きな動物のお腹の上にいるような。
温かくて、柔らかで、いい匂いがする。
天国があるならこんな所かしらと微睡みの中、ふふふと考えに笑っているとー…。


「いや、困るって!天国って死んでんじゃねーか!」

一気に目を見開いて、勢いよく起き上がる。
きょろきょろと辺りを見ると、そこは洋風の綺麗なお部屋の一室のようだった。
いやいやいや、ここどこよ。
なにこの部屋!城!?


脳内で1人ノリツッコミをしていると、キィ…と音を立ててドアが開いた。


「あ、起きた?」
「………」


私は眉をひそめた。
イルミ=ゾルディック
あの猫目を見た瞬間、一気に脳が冷める。
ああ、あれは現実だったのか。


「…お、はようございます…」
「ん、おはよう」
「…えっと、私はなぜここに…。というか此処はどこでしょう…?」
「最初の質問に対しての回答は、君が寝たから連れてきた。後の回答については、俺の家」


寝たとかちょっと待てよ私無防備すぎじゃないか?
暗殺者の前で寝るとかただの馬鹿じゃん!


「うん、馬鹿だね」
「ひっ、読心術…!?」
「声に出てる」
「あら王道」


やっぱり私は馬鹿でした。
…で、なんだっけ?ここどこだかだっけ?確かさっきイルミさんがー…。


「…あれ、ここイルミさんち?」
「うん」
「ガチ?」
「うん」
「天下のゾルディックさんち?」
「そうなるね」


言葉が出ない。
なんということだろう。
かの有名な(だと思われる)ゾルディック家の屋敷に私は今居るのだ。
命がいくつあってもたらんぞこりゃ。


「え?なんでですかね?」
「そりゃあ君が拾ってっていったからだよ」
「だ、誰に?」
「俺に」
「たはー」

確かに言ったわそんな事ー。あー、うっかりうっかりー。


「あっはっは、私馬鹿」
「そうだね」
「否定して下さいよ」
「でもあれは賢い選択だったんじゃない?じゃなくちゃ君は死んでいる」
「……」

そのとおりである。
生きるためにしたその選択は間違えではない筈だ。


「もし俺が君を拾ったなら、仲間なら、俺が顔見られてるとか問題は全くなくなるからね。まぁ、普段ならそんな事するわけないけどね」
「…えっと」
「興味本位だよ。つまり君の話に興味が湧いた。あの内容の正体が単に君は流星街出身だなんてつまらないものだったら即座に殺してるさ。でも君は違うよね?君を見ていれば、そういった事とは無縁の温室育ちなのがよく分かる」
「…私は」

どう言えばいいか分からないから、もう1から全部言ってしまおう。
そう思い、口を開いた。


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