「なまえー、帰りアイス食べに行こうよ」
「うわぁい、行く行くー!」
放課後になり、やっとこのカオスな世界から抜け出せる!と嬉々として政子の誘いに乗ろうとして声を発した途端、頭をガッと掴まれた。
…え。
「なまえは俺と帰るから…」
「えー、今日くらいなまえ貸してよ、トウヤ君」
ト ウ ヤ …?
「えぇ!?」
ぎゅるん!と後ろを見ると、後ろにはあのトウヤ君がいらっしゃった。ナニソレ。
「トウヤ…ずるいな、なまえと帰るのは僕だよ」
今度はNさん!?
「きゃあっ、Nさんまで!なまえこーんなかっこいい弟とお兄さんが居て羨ましいなぁ」
「え…いま、なん…て…」
「こんなかっこいい…」
「その、後…!」
「弟とお兄さん…」
ぐわんっ、と脳が揺らいだ感覚がした。
気持ち悪い。違う。違う。
「私…のお兄ちゃんは…もっと年齢上、だし…Nさんじゃな…どこ、私のお兄ちゃん…どうなっちゃ「なまえ」
目が湿ってきたとき、なまえに呼びかけられた。
「帰ろ」
帰ったら、どうなるのかな。
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