5月の連休でだらけた生活を送っていた私にとって、久しぶりの学校生活はなかなか辛いものがあった。ぼんやりと午前中の授業をやりすごしてやっと昼休み。お昼のジュースを買うために自販機にお金を入れ、真ん中の段、右から2番目のボタンを押す。
――ガコン
何日か前、ここであの男の子(名前がわからないので勝手にいちごオレ君と呼んでいる)(といっても呼んだことはないけれど)と出会ってからいちごオレは密かなマイブームになっている。
みんなもうお弁当食べてるかなーなんて考えながら紙パックをつかんで回れ右。振り返ると明るい茶色でふわふわの髪の男の子。あ、いちごオレ君…
「今日は悩まないんだね」
「あ、うん。」
「おれもいちごオレにしよーっと」
あ、わたしのこと覚えててくれてたんだ!なんだか嬉しい。
ピッピッピッとテンポよくみっつボタンを押していちごオレとストレートティーとブラックコーヒーを取り出すいちごオレくん。あれ?いくらなんでも多くないのかな?
「そんないっぱい飲むの?」
「んーん!友達の!ジャンケンで負けたんだ」
じゃーね!って笑ういちごオレくんにつられて私も笑ってじゃあねと返す。
人懐っこい笑顔が脳内で勝手にエンドレスリピート。いちごオレくん、明日もジャンケン負けたらいいな。そしたらまた会えるのに。
(20110227)