「かずまくんっジュース持ってきたよ!」
「……うん」
うす暗い納戸でカタカタとパソコンをいじっている佳主馬はちらりともこっちを見ずに返事をした。そっけない。あいかわらず冷めたい。愛嬌もなにもあったもんじゃない。佳主馬らしいといえばそうなのかもしれない。でも何故かそんなそっけない少年にかまいたくなってしまう。このクールビューティーを焦らせてやりたい!驚かせてやる!
そんなよくない決意をしている私をよそに、依然としてノートパソコンの画面から目を離さない横顔は真剣そのもので、私はというと、不覚にも5歳も年の離れた少年に見とれてしまっていた。いや、でも佳主馬は絶対将来イケメンになると思う。だって現にかっこいし…っていやいや、中坊相手に何考えてんだっ!しっかり!私!
もう一度佳主馬を見ると真剣な顔にどきどきしてしまう。なんか…こう、意地悪したいっ!
「っうわぁ!?」
まだ声変わりしていない高めの声が納戸中に響く。
「なっなにすんのさ!」
「わっ予想外。佳主馬は耳が弱いんだね」
「!!なまえねぇがいきなり息吹き掛けるから!」
珍しく慌てる佳主馬。恥ずかしかったのか長い髪からちょこんと覗く耳が赤くなってる……もう!
「佳主馬かわいいーっ!」
「わっ!?」
あの表情の変わらない佳主馬を動揺させたことがなんだか嬉しくて佳主馬のまだ薄い胸板に横から抱きつくと勢いで押し倒してしまった。
佳主馬は目を真ん丸にしたまま私を見ると私の肩をつかみ押し倒された体をぐっと持ち上げる。細っこいくせに以外としっかりした腕にどきりとした。ていうか、中学生って以外と力あるんだ。
「俺っOMCで忙しいのっ!なまえねぇもみんなのとこ戻れば?!」
佳主馬があんまりにも早口でまくしたてるもんだから、もっとかまいたくなってしまう気持ちと吹き出しそうになるのをぐっとこらえながらて部屋を出る。
「あ、佳主馬!」
「なに?」
「耳が弱いひとってえっちなんだって!」
「!?違っ」


「〜〜っ、なまえねぇの変態っ!」


えへへ、変態で結構!佳主馬がかわいいのがいけないんだもんね



(20100823)
佳主馬に変態っていわれたかっただけ。
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