そろそろお腹がすいてきて授業終了が待ちきれない4時間目の古典の時間。さっきの体育で疲れて寝ちゃってる人も何人かいる。形容詞がどうの副詞がこうの言ってる先生の話が右耳から左耳へ流れていく。お昼休みまであと20分、長いなあ。

自販機でいちごオレを買うことと、茶色の髪の毛の男の子を探すことは私にとってもはや習慣で、楽しみとなっていた。今日は逢えるといいな。残念ながら、連休明けのあの日以来、いちごオレくんを見かけなくなった。

ジャンケン勝ってるんだろうな。それにしても、同じ1年生なのに廊下で見かけたりしないのも不思議だよ。すれ違ったりしたら絶対に気が付くと思うんだけどなぁ。
いちごオレくんに逢わなくなってから私はぐるぐると彼の事ばかり考えている。今度逢えたら自己紹介して、名前を教えて貰おう!それで、もっといろいろ話してみたいなあ。甘いもの好きなのかな?髪の毛は自毛なのかな?聞いてみたいこともたくさんある。

「では、5行目からみょうじさん読んで下さい。」
「あっ、はいっ」

先生からの指名ではっとして教科書を取り上げたはいいけど、5行目って何ページの5行目かがわからない。しまった。「25ページだよ。」くるっと振り返って教えてくれたのは前の席の栄口くん。あっありがとう!






「栄口くん、さっきはありがとね!」

授業終了のチャイムが鳴ると、真っ先に先ほどのお礼をする。

「どういたしまして、寝てた?」
「ううん、早くお昼休みにならないかなーって考えてた」
「そっか、体育の後だったしね」
「そうそう!お腹ぺこぺこだよー」
「5時間目もし眠くなったら次は私が助けてあげるね」
「ははっ、頼りにしてる」


栄口くんは休み時間はほとんどぐったりと眠っているので席が近くになってから話すのはほとんど初めてだけど、すごく話しやすい。彼の人柄なんだろうな。

普段話をしない人と話ができると嬉しくなるのは私だけだろうか。少しうきうきした気分で自販機に向かう。
今日は逢えるかな?

(200227)
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