サスケとサクラ

「……いない」

深月病院内に勝手に入り込んでいた人物・うちはサスケは溜息を吐いてぐるりと周りを見渡した。3日後に薬を貰う約束をしていたのに、当の本人がいないんじゃあ薬を受け取ることもできないだろ。何考えてんだよあのバカは…小さく悪態をつくと、サスケは居間の椅子へ(勝手に)腰掛けた。

サスケとセナの出会いは、うちは一族の事件が起こるよりも前のことだった。その頃から医療に関しては木の葉の医療忍者の中でも相当な実力を持っていたが、それに反比例してサボリ癖も今より酷かったセナは、度々カカシやサスケの兄のイタチに捕まえられていた。逃げ足の速いセナも、何を考えているかイマイチ分からないイタチの捜索の手には逃げるのが難しかったらしい(カカシはほぼ諦めていたそうだ)。そしてとある日、相変わらず仕事を放り出して逃げ出した先にいたのが、イタチの弟であるサスケだったのだ。

「…」

「うわぁ!?イタ…ちっ、ちゃいイタチ〜?」
「…え、だれだ…?」
「あはははんなワケないよねえごめんごめん…あんまり似てるからびっくりしちゃったよお〜」
「おまえ、…おれのにいさんのことしってるの?」
「え”っ……にいさん!!?」
「うっるさいんだけど…」
「え、ああ〜…まさかもしかして、君イタチの弟なのお?似てるねえさすが兄弟〜」
「にいさんさがしてるなら、きょうはにんむだよ」
「知ってる知ってる〜〜ねえ〜イタチに弟君から言っといてくれなぁい?セナを捕まえるのはもうやめてくださいって〜」
「にいさんにおわれてるっておまえわるいやつなのか!」
「なんでそうなんのよお!セナはさぼ…じゃない、他の仕事があるからちょっと抜け出してるだけなのよお」
「…」
「怪しい顔しないでくれるかなぁ弟君」
「サスケに何をしているんですか、セナさん」
「ぎぃやぁ!!!?」

あの時のセナの顔は今思い出しても笑える…って、昔の記憶を遡ってる場合じゃねえっての。無駄な思い出を思い出しながら、つーかあいつもまたいねえのかと指でトントンと机を叩いていると、玄関口からカタカタという物音が聞こえてきてサスケはふと目線を寄せた。帰ってきたか。そう考えながら立ち上がると、ガラリと扉を開けたのはセナではなく、昔からの仲間であり、旧7班の一員であり、そしてサスケのことをずっと待って信じていてくれていた、

「……サクラ」
「サ……サスケ君…!?な、なんでここに!?」
「セナに用事があって‥どうしてサクラがここの鍵を持ってるんだ」
「あ……今、セナさんは…」
「…?」
「セナさん、病院に、いて…」
「病院?」
「…色々あって、セナさんの着替えを取りに…その、サスケ君、セナさんとは会ってたんだね…」
「ああ、ちょっとな」
「……病院、戻ってるから」
「サクラ?おい、」

引きつりのような笑みをサクラに向けられたサスケはどうしたんだと手を伸ばしたが、腕を掴まれる前にサクラはその場から早足で出て行ってしまった。

「…?サク…、」

小さく首を傾げはっと顔色を少し変えたサスケは後を追うように病院から出て行くと、屋根に飛び乗ってサクラの姿を追って行った。

2015.02.26

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