タイムリミットがあるの、

「シーカーマールゥ〜〜いないのぉ〜?いるでしょお〜?シーカーマールー子鹿ちゃ〜んシーカーマールーちゃ〜んおーいー」
「……とにうるっせェってんですよ!久しぶりの休暇なんだから寝さしてくれっつーの!!」

シノと別れて向かった奈良宅、途中でヨシノさんと会って「シカマルなら休暇で家にいるから」との言葉を聞き、ラッキーとばかりに訪れたのに当の本人は居留守を使っていたようで、玄関の呼び鈴を鳴らしても全く出てきてくれなかった。

そんなんで私が諦めると思ってるわけ?チャイムを何度も押しながら何度も声をかけ続けると、観念したように扉が開き不機嫌MAXのシカマルが現れた。

「そんなに睨まれてもぜ〜んぜん怖くないんだからあ」

私の顔を見るなりドアを閉めようとしたシカマルの手をがしっと掴むと、にこやかに笑ってみせる。

「も〜、居るのはバレてるんだよお?さっきそこでヨシノさんに会ったからあ〜」
「セナさん…頼みますから今日は勘弁してください。俺昨日まで5代目にこき使われてたんスよ…睡眠足りてねーし疲労困憊だし頭ふらつくし今日は本当に無理っス」
「でねえ、実は薬のことで聞きたいことがあって〜、キーちゃんとも相談してたんだけどさあ、ちょっとお邪魔するよお〜」
「…アンタ人の話し聞いてました?」

そんなことを言いながらも靴を脱いで家に上がる私を見て諦めたのか、盛大に吐いているシカマル。彼は割りと押しに弱いのよねえ。特に女性の頼みとあらば。シカクさんの影響かなあ、女性を無理矢理追い返そうとはしない所。

「ごめんね、まあでもすぐ終わると思うから」
「キンさんも居たんスか…」
「私がシカマルに聞けばって勧めたの。休暇だったのねー珍しい」
「はァ…本当にすぐ終わるのかよ…」

勝手に居間まで上がると後ろでキーちゃんとシカマルが会話する声が聞こえた。医療系のことで私はよくここへ訪れることが多い。そして結構無理を言うことばかりだったりする。それでもシカクさんやシカマルの頭にかかればできないことは今までになかった。

「…で?なんスか?」
「この薬なんだけどさあ」
「筋の硬直化、チャクラの練れない身体を元に戻す薬……って、これめちゃくちゃ難易度高いやつじゃないスか。なんでこんなモン…」
「テ……ヤマトをどうしても助けたいの」
「ヤマトさんは…この薬でも復活するのは難しいですよ。それに、調合を少しでも間違えて服用すれば死ぬ可能性だってある」
「ちょっとお〜セナが失敗すると思ってる?」
「それは…」
「キーちゃんにも助けてもらってるし、そこら辺は大丈夫、自信あるもん。それより、これをもっと良く改良して早くヤマトの身体が復活できるようにしたいんだあ。それでね、考えたの!」

計算式等を纏めた1枚の紙をドヤ顔でシカマルの目の前にひらりと見せつけると、呆れたようにそれを受け取ったシカマルは文を読んでいくにつれて、少しずつ眠たそうな目を大きく開いていった。

「………セナさん、これ、アンタが…?」
「そー。中々よく考えた方じゃなあい?」
「キンさん、どう思います?これ」
「いいとは思うけど…でもちょっと雑でしょ?だから少しでも確率上げようと思ってシカマルの頭脳を借りる提案出したのよ」
「…薬の知識だけに関したらセナさんに頭上がんねーな…もっかい数式出してもらっていーっスか?」
「任せて〜」

心底関心したように紙を見つめるシカマルを見ていると、どっちが年上なのか分からなくなるが完全に私が十くらい上である。貫禄持ってるよねえシカマルって(さすが年寄りくさいだけある)。

「つーか、セナさんがこんなに躍起になるのって珍しいっスよね」
「セナ怪我人病人には基本的に全力だよお?」
「いつもだったら危険な橋渡ったりせずに安全性を選ぶじゃないっスか」
「正直な所の話し、してあげよっか?」
「…?」
「綱手様はまだ気付いてないけど…ヤマトの身体、もう限界なんだあ…急がないと間に合わないの」

私の言葉を聞いたシカマルの目がさらに丸く開かれる。それと同時に盛大に大きな溜息を吐いていた。

2014.04.24

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