変化が良しか悪しか

「あれ、マトイに我愛羅…解散って言っといて二人でデート中〜?」
「ヒューヒュー!お熱いですね!」
「…ほんと嫌なタイミングで現れますよねーテンテンさんもリーさんも」

あれからかわせみ一族とはほとんど話すこともままならないまま、すぐに我愛羅様が里近くで待機させていたらしい暗部が姿を現し、我愛羅様はあたしの手を掴むとルミネっちに向かって(何故か)我愛羅様が「もう口寄せを解いていいぞ」と憂流していて(素直に頷くルミネっちもルミネっちだ)。暗部にかわせみ一族を任せると、砂隠れの里へあたしもろとも無理矢理連れ帰ってきた。正直かわせみ一族と一緒に戻ってきたかったが、顔の見えない暗部に「この者達は責任もって我等が里へ連行致しますのでマトイ様は風影様とお帰り下さい」なんて囲まれて言われれば、もう「はい」としか言えない。

第一あたしの少し前を歩いてる我愛羅様が何故あたしを見つけられたのかも謎だし、かわせみ一族ともっと話しをしたかったのにそれもあんまりできなくてぶっちゃけ邪魔だったし、ていうか協力いらないって言ったのに結局協力と言う名のお節介してくるし!!

「1人で行くってあたし言いましたよね!!」
「すみません!!」
「リーさん達には怒ってません!!っていうかなんで謝ってんですか!?あたしは風影様に言ってんですよー!」
「え、我愛羅?」
「俺はお前が1人で行くことに了承した覚えはない」

謝罪を言いながら頭を下げてくるリーさんにツッコミを入れていると、至って冷静に答える我愛羅様の姿にあたしの中にある何かがぶちりと音を立てて切れた。‥だから、なんなのあんたは、突然好きだのなんだので求婚とかしてきて、任務とか言って砂隠れに呼びつけて、終いにはあたし1人で片付けるって言った問題にまで介入してきて…いや分かってるよ?これは風影様直々の任務だもんね?もちろん盗まれた物はかわせみ一族とちゃんと話して返してもらおうかなとか思ってたんだよ、色々算段は考えてたつもりだこれでも!!

「こっちの計画無茶苦茶だって言ってんですよ!!」
「す、すみません!!」
「ちょ、ちょっとマトイ?!何?!何があったのよ!」

何故かまたしても謝ってくるリーさんと慌てふためくテンテンさんを無視して、あたしはびしっと我愛羅様を指差した。おいあたしは怒ってるんだから少しくらい反応したらどーなんだ!!

「奴等と話しがしたいんだろう」
「分かってるならなんで暗部に連れて行かせたんですか!!イジメですか!?」
「里内でも話しくらいできる」
「敵の手中に入って素直に話をすると思ってますー!?拷問でもする気なんですか!?」
「大丈夫だろう、お前が居れば」
「いくらあたしが拷問部の人間でも時と場合ってのが…!」
「拷問をしろと言ってるんじゃない。お前が居れば口を開くかもしれないだろう…何を勘違いしているのか分からんが俺はお前の力になりたいだけだ」
「言ってることとやってることがめちゃくちゃだって分かんないんですかー!?」
「あれだけ派手なことをやって人が集まってこない訳がないと思わないのか。もっと深い"話し"が聞きたいのであれば"盗賊"としてのまま牢獄に送りそこで極秘に話しをした方がいい。"要石"を名乗るお前なら、その方が安全ということくらい分かるだろう」
「っ…!!」
「ね、ねぇ…どうしたの?マトイがそんなにキレる所見たことないけど…」
「僕もです…」

確かに、と言いかけた自分の口を閉じるとふんっと首を逆方向へ向けた。どうにもだ。どうにも冷静になりきれない自分が憎い。いつもの適当感はどうしたんだと言い聞かせながら、今だおろおろしている木の葉のボケ&ツッコミと我愛羅様を残して急ぐように地面を踏み出した。

「どこにいるか分かるのか?」
「分かりませんよ、どーせ場所も教えてくれるんでしょー!!」
「ああ」
「さっさと教えてくださいよ!!」
「テマリに錠を持ってこさせるから少し落ち着け」
「我愛羅君と喧嘩したんでしょうか…?」
「こっち来てからマトイ情緒不安定よねー…」

2014.09.15

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