捏造した?された?

「全ッ然覚えてないことに吃驚。守ってあげるってあたしは正義のヒーローか…それ、捏造じゃないんですかー?」
「こんなこと捏造してどうする」
「まあ確かに」

いや、でも本当になーんにも覚えがないんだよね。いつの話し?いつの事件?しかも話しの最後であたし死んだことないかな。それにそんなことさすがに忘れるようなあたしでもないんだけど……ポテトサラダを口いっぱいに頬張りながらいつのことだよと口を尖らせる。それよりも誰だこのポテトサラダ作ったの。めっちゃ美味いんですけど!最早あたしは我愛羅様の話しそっちのけだ。

「まあそれは置いといてもあたしの素性きちんと調べて求婚するべきですよー。前も似たようなこと言った気がするけど、なんっも知らないでしょーほんとになんっも!」
「悪いが最近火影から色々聞き込んだ。光の国にある隠れ里、コウの里の出身で神獣"玄武"の封印の器らしいな。驚いた」
「ぬあッ!?だから何木の葉の機密事項しゃべってんのあの人ッ!!つーかそれほんとに驚いてんの!?」
「ああ」

真顔で木の葉の機密事項をぺらぺらっと喋るもんだから、もぐもぐと口に含んでいたポテトサラダを吹き出しそうになった。否、吹き出しかけている。真顔は驚いてるなんて言わないの!!

「ちょっと、それはさすがに我愛羅様でも他人に漏らすようなことがあったら…」
「分かっている。それに同じようなことを火影にも言われた。というか、一応風影である身、そんなに俺は信用がないか?」
「信用が有る無しカンケーなくそれに関しては口止めするのが普通です!!」
「そうか、分かった落ち着け」

どうどうとでも言いたげに手で制する我愛羅様にびしっと箸を突き付けると、その箸でごろっとした芋を掴んで口に放り入れた。

「なんで綱手サンは我愛羅様に甘いんだ…」
「…ああ、そういえば…」
「アイツには引き取り手が今後現れないかもしれない。我愛羅、マトイはお前が必ず捕まえてやれ!捕まえられる自信があるならアイツのことを話してやる!」
「…とも言われたな」
「自分も結婚してない癖によく言うよね…」
「お代わりはどうだ?」
「いただきます。…あ」

なにこの普通の流れ。そしてご飯を我愛羅様がよそってくれるという主夫感。この人風影でしょ。それともお兄様お姉様方の時もこんな流れなの?弟が一家の大黒柱を担ってるの?あ、風影だもんね…ほんとお兄様肩身狭いんだろうな…計らずも茶碗を渡してしまい、一連の流れで白飯の入った茶碗を渡されたあたしはなんだかおかしな空気に首を傾げつつお礼の言葉を述べた。

「んでー?盗賊とやらを見つければ早く帰ってもいいんですかー?」
「急に話が変わるな」
「早く帰りたいですからねーなんならたった今からでも素早く調べあげますよー」
「ああ、そうしてもらえると助かる。どちらにしろマトイを3日間はここに残していいと火影から伝言を預かってるからな」
「ぶ!っ、言うの遅いし何それ!!!」
「悪いな」
「悪いと思ってない!!第1私にはまだ仕事が残ってんですよ!!」
「拷問に関しては上になんとかさせておく、術が効かなかった輩がいたということは暗部から話しを聞いた、まあそれはとりあえず帰ってきてからの報告でいい。…そうだ」
「何そのおかしな手紙は?!ちょっと見せなさいっ!」

人が体を駆使して行った任務なのにその報告は後でいい…だと…?!相手が風影ということも忘れて、我愛羅様が懐から取り出した紙をむしり取ると目をひん剥いて文字を読み上げた。‥確かに書いてある。これは綱手サンの字だわ…ってちゃうわ!それよりさ、あたしには何も伝えずに我愛羅様に手紙を出してるなんてどういうこと…そんなにあたしを木の葉と砂の架け橋にしたいか!架け橋なんてナルトさんで充分でしょうがっ!!

「我愛羅、そろそろ時間だぞ」

ガチャリとドアを開けた先に我愛羅様のお姉様とテンテンさんとリーさんが見えて、思わずガタンと立ち上がる。「おい、」なんて声が聞こえた気がしたがそんなの知るか!

「なに?どうしたのよ」「凄いやる気ですね!」なんて好き勝手に述べる木の葉の忍2名の首根っこを掴んでそこから引きずり出すと、一瞬で任務を終わらせてやると意気込んで茶碗と箸を机に戻すや否や凄い速さで廊下へ飛び出した。

「なんだ、何かあったのか?」
「何もない。恐らく盗賊を見つけ出す為にどこか静かな場所に行くんだろう。暗部に3人を追わせてくれ」
「脱兎したのか。あいつらしいな」

2014.06.26

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