白の世界

「おはようハヤ!久しぶりだな!」
「あら、おはようございますマイトさん。最近全然お見かけしませんでしたね。ありがたいことです」
「ハヤー、最後の一言はいらないからその黒い笑顔消してー」

朝。いつものように修行を終えて向かった先、上忍待機室。そこにいたのは先に家を出ていたネジと、リーさん、テンテンさん、そしてマイトさん。テンテンさんは何故か私を見た瞬間から呆れ顔を晒しているんですが、しょうのないことだと思いませんか?片手を腰に当ててもう片方の手でいつもみたいに親指を立てたマイトさんから至極当然のように離れると、ネジの隣に座って聞こえるように大げさに溜息を吐いた。

「いやあ、まさかネジにハヤを捕られてしまうとうはなあ…どうしてネジだったんだ?もちろんネジの良い所は俺もよーく知っているが、無論、俺の方が青春真っ盛りの大人の男だぞ、それにだな、」
「そうですね!僕もそんなガイ先生をかっこいいと思っています!」
「うふふ、本当におかしな人達ですね。理解の範疇を越えた思考をお持ちのようで」
「ハヤ、任務じゃなかったか?」
「少し時間があるので、ネジに会いに来たんです」
「そうか」
「はい」
「ちょっとー、なんかすっごいカオスな空間になるからイチャイチャ振り撒くのやめてくれる?ガイ先生達は違う意味で熱いんだからさー」

光の国がどうだとか、ホウライ様と綱手さんが話したことだとか、気になることが色々あるにしろ今私はとても幸せだ。ずっと好きだったネジが側にいてくれる。ぱち、とネジと目が合うと、誰にも気付かれないようにお互い小さく笑う。ああ、幸せすぎて怖い。

「……そういえば」
「どうかしたか?」
「あ…ちょっと気になる事を思い出して」
「気になる事?」
「先日の食事会でヒナちゃんとお会いした時、ヒナちゃんの様子が少しおかしかったので何かあったのかと思ったのですが…」
「ヒナタ様が?」
「あれからちゃんとお話できてなくて何も聞けてないのですが、…ネジ、何か聞いていたりしませんか?」
「いや。何かあったら俺よりもハヤの方が相談しやすいだろう、女性同士だしな。今度会ったら聞いてみるといいんじゃないか?」
「それもそうですね。‥そうしてみます」

「あ……ハヤ、ちゃん…」

思えばあの時のヒナちゃんの顔、困ったような‥なんだか気まずそうな顔をしていました。でも、聞いたらちゃんと答えてくれますよね…

「…あ、そろそろ行かないと。ネジ、今日の任務終わったらここでお待ちしておりますので一緒に帰りましょう」
「ああ。遅かったら先に帰ってていいからな」
「はい」

ふとマイトさん達に目を向けるも、今だ青春がどうだとかガイ先生みたいな熱い男になりたいですだとか、ひっきりなしにどうでもいい話を繰り広げている。それを白い目で見ていたテンテンさんにも声をかけてその場を離れると、休憩所を後にした。








「…ハヤちゃん」

あのチャクラはハヤちゃんのモノじゃない。ハヤちゃんのチャクラは他の人と違って少し灰色がかった白い色をしてて…けど、あの時見たのは真っ白で…ほんとに、雪みたいに真っ白で…でも、…すごく、似てた。悪く言うなら、ハヤちゃんのチャクラがまだ不完全、そして、あの時見たのは。

2016.02.27

prev || list ||