カウントダウン

「ごめん!ほんとごめんねキバ!!」
「いーや気にすんなって。俺生きてるしな」
「それ洒落になってないからね!?怪我してない!?大丈夫!!?」
「バーカ。俺も赤丸もピンピンしてんよ!」
「アン!」

なんとか落ち着きを取り戻したら無事術も解けて、先程まで張られていた結界も見る影はない。けれど、確かに。‥あれは私が張った結界だった。使ったことのない力だったけど今なら分かる。‥確か敖光さんが"サンムケッカイ"とかなんとか言ってたような‥

「つーかさっきのなんだよ、超すげーじゃん!」
「わ、私も分かんないんだよ‥なんか、ふんってやったらどーん!みたいになって‥」
「うんこか」
「最低な例えしないでくれる?!!」
「いやまあとにかくよ。これでなんか希望見えたんじゃね?」

ニッと笑ったキバが、赤丸をわしゃわしゃと撫でる。希望、か。そう言うってことは、少しは私が1人で修行に行っても大丈夫だと少しでも認めてくれたんだろうか。私も驚きすぎてさっきまで怒っていたことを忘れていたけど。敖光さんの声が通常時に聞こえたことが成長の証?みたいなことを言っていたが本当なのだろうか。まあ今は聞こえていないけど、聞きたい時はどうしたらいいのかな。なんか強く念じれば念が通じるとか?でも多分私だけしか声聞こえてないんだよね。さっきのキバ普通だったもんな‥。

「なあ聞いてんの?」
「はいっ!?」
「‥だから、修行に行くまで手合わせの相手とか探してんだったら俺手伝うっつってんの」
「え‥」
【コトメ】
「ぅっぎゃあ!!!!」
「なんっだよ!!!」

吃驚した!!いきなり低い声聞こえたと思ったら敖光さんの声で、私の驚いた声にキバは驚いている。やはりキバには敖光さんの声が聞こえていないらしい。でも、敖光さんのことキバには言えないもんなあ。というか声をかけるタイミングを考えてほしいよね。‥というわけで敖光さんをスルーすることに決めた。

「ご、ごめんごめん空耳聞こえて吃驚した!!」
「なんだよ急に大声出すなよな‥」
【誰に向かって空耳等とほざいているんだ貴様】
「ヒッ」
「コトメが急激に実力伸びちまったら癪だしよー、まあ、‥なんつーか、心配っつーか‥」
【‥誰を無視していると思っている】
「あああキバごめん私ちょっとお腹痛くなってきたからお手洗い行ってきてもいいかな!!!?」

なんだか敖光さんの声がもっと低くなった気がして、慌てて私はお腹を抑える素ぶり見せるとキバの話を遮った。物凄く不服な顔をしていたけど、どうにも私の顔色が本気で悪いらしいと踏んだらしく、引き攣り気味で「おお‥行ってこい‥」なんて言われて逆に私まで顔が引き攣りそうになった。そんなにヤバイ顔してたのかな‥。

「あの、敖光さん‥一応敖光さんが私に封印されてるっていうの里には秘密になっているので‥‥」
【ああ、‥成る程な。そういうことか。だが無視は嫌いだ】
「そういう問題‥?あ、っていうか何か用事でした?」
【少し火影と話がしたいんだが、会える場所まで連れて行ってくれるか】

2017.08.25

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