ぽっちゃり系親友

「すいませーん!カルビ10人前とハラミ10人前追加お願いしまーす!!」
「相変わらずだねチョウジ…到着20分でカルビ10人前食べ切っちゃうとか…」

私のお皿に乗ったお肉を全部食べきる前に追加注文しだしたチョウジに感嘆の溜息を漏らす。ていうかご飯の量に対してお肉の量おかしいしね…やばい見てるだけで胸焼けしそう…いや私も食べてるんだけどさ…

「チョウジ、なんか痩せた?」
「さっきシカマルにも同じこと言われたよ。大丈夫大丈夫、すぐ戻すからさ」
「戻るんじゃなくて戻すんだね…」

にこにこ笑顔でどんどんお肉を口に運んでいくチョウジを見ていると、自分も同じ量を食べている気にさせられて箸を置いた。まあ、チョウジは痩せているより太ってた方がチョウジらしいし……肉の代わりに水の入ったコップを手に取ると、口の中へ流し込んだ。

「あれ?もう食べないの?」
「いやあ、久しぶりにチョウジの食べっぷり見ちゃったらお腹いっぱいになってきちゃって…」
「そう?じゃあ残りのホルモンいただきます!」
「どうぞどうぞ」

半分程しか減っていない私のお皿のホルモンを差し出すと、猛スピードで網へと乗せていく。ホルモンなんだからちゃんと焼いて食べてよね。滴り落ちる脂をガン見しながら食べる機会を伺っているチョウジに乾いた笑いが出た。

「あ、そういえば」
「ん?何?」
「コトメその髪紐変えた?」
「え…あ、ああ!そうそう!どう?似合う?」
「似合うんじゃない?」

肯定を示した後に小さく頷いたチョウジはまた視線をホルモンへと戻していた。なんだよ、あんまり興味ないんだったら聞くな。というか疑問系か!これをシカマルがくれたんだよーとか言ったら吃驚するだろうなあ。いや、多分否定するかな。あのシカマルがそんな面倒くさいことしないよって言いそう。うん、私も逆の立場だったらそう思うよ。

「シカマルでしょ」
「ぶふっ!!?」

盛大に水を吹いた。女の子なのに吹くってどうなのとは思うけど!!吹く瞬間に横を向いたからチョウジやお肉にかかることはなかったけど、完全に鼻に入った気がするよ!!ていうかなんでチョウジ分かったの!?ゲホゴホッと咳込むと、それを見ながらお肉を口に運ぶチョウジがいた。少しは心配してくださいよ。

「シカマル、コトメの中忍試験終わってからちょっとそわそわしてたんだよね。それでどうしたのって聞いたら"アイツが欲しがりそうなモンが全然わかんねーの…女ってのは小難しくてめんどくせーな"とか言ってから多分コトメのことじゃないかなーって」
「ええ…?どのへんでそう思えるの…」
「シカマルが"アイツ"っていう女の子はいのかコトメくらいだし、いのはあの時別になんの行事もなかったはずだからじゃあコトメの中忍試験かなーって」
「チョウジってそんなに鋭く考える人だったっけ…」
「失礼だよ。ボクだってもう子供じゃないんだからね」
「え、ああ…うん、そうだね、まあ食べなよ」

ビッとお箸で私を指したチョウジは、言うだけ言ってまたカルビへと視線を走らせた。シカマルが、私のことを考えて…か。だから優男って言われるんだよばーか。勘違いされるんだよばーか。悪態をつきながらも嬉しいものは嬉しい、というか嬉しすぎる。私ばっかり好きなのがムカつくけどね!緩んでくる頬をぎゅっと摘まむと、チョウジに悟られないように引っ張ってにやけ顔を誤魔化した。








「これも違うか…」

焼肉Qの屋根の上でぱらぱらと本を捲り、溜息をついて閉じる。俺はあの謎の事件からコトメの護衛の傍らで、光の国やコウの里について記された本を読み漁ることが多くなっていた。

これ以上アイツのことを知らないままでいるわけにはいかねぇ。しかし、木の葉にはほとんどと言っていい程光の国について書かれた本はないし、あったとしても詳しく載っていない。まあ普通に書物室に置いてある訳がねぇことは予想していたがまさかここまで情報がないとは…後は火影邸にある禁書室か。…入ったのバレたら1発ぶん殴られそうだな、つーか1発で済めばいいけど…

「…ダメ元で掛け合ってみっか」

焼肉Qでチョウジが大いに食べ過ぎているのかコトメが止めようとしている声が聞こえて呆れたように笑みを零すと、そのまま屋根に寝そべってコトメの髪色によく似た空を見上げた。

2014.10.19

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