私立?ふぇむと学園! | ナノ




月曜日の朝と言えば、学生や社会人にとって嫌な時間帯。昨日までの休日と打って変わって始まる日々を考えると欝になりそうになるわけだけど、私は違う。


明らかに夜ふかしをしていた男子や昨日のテレビドラマの会話で盛り上がる女子。宿題やった?なんて会話も聞こえてくる朝の教室。



「名前ちゃん!古典の宿題やった?」

『うん、やったよ』

「お願いっ!見せて!!」



ぱんっ!と手を合わせるクラスメイトの女の子。



『でも、土方先生のことだからバレると思うよ?』

「あー……確かに」

『わからないところがあったら教えるから、ね?』

「うん、ありがと!」



私がほかの人と違い月曜日の朝が好きなのには、勿論理由がある。月曜日の朝、一時間目の教科が古典なのだ。私の得意科目が古典。まあ、文系全般が得意なんだけど古典とか歴史が得意。得意科目の授業というのは飽きないもので、楽しい。

それもあるけれど、一番の理由は古典の担当教師である土方先生にある。

土方先生は私にとって所謂近所のお兄ちゃんで、昔から可愛がってもらっていた。まあ多分そんな彼の影響もあり私は古典が得意になったのかもしれないけど。

前は、歳兄ちゃんとか呼んでいたけど流石に学校でそう呼ぶわけにも行かずほかの生徒同様土方先生と呼んでいる。



授業開始のチャイムが鳴り終えると同時に教室の扉が開かれ彼が入ってくる。

鴉の濡れ羽のように綺麗で艶のある黒髪がサラサラと揺れている。黒いスーツに緩めのネクタイ。一番前の席の私にはそのスーツに染み込んでいるのであろうタバコの香りが香ってくる。



「日直、挨拶」

「起立!礼」

「さてと、宿題提出してもらうぞ。やってきてなかった奴はプラスで今日も宿題出してやるから覚悟しておけ」

「「「「えぇ!!」」」」

「あ?なんだ文句でもあんのか?」

「「「「いえ、なにも……」」」」



宿題をやっていなメンバーと土方先生との会話にドッと笑いが起きる。私も思わず笑ってしまう。

そんな中、私はさも当たり前のようにその宿題を提出し、席に着く。


ふと、前を見ると土方先生が私を見ていた。前を見た私とは目が合う。


目が合っていた時間は1秒にも満たなかったと思う。でも土方先生はその間に私に対していつもの私に見せてくれる優しい笑みを浮かべてくれた。本当に一瞬の出来事だけど私のはそれが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。



「おら、授業はじめるぞ。教科書の47ページを開け」



まるで「よくやったな」と褒めてくれたかのような笑顔が見れる。そんな月曜日の一時間目が私は大好きなんだ。




チャイムの幸せは私だけ




きっと、ね



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